「自分の限界」を知っている人は加齢に強い

誰でも年とともに体力は低下します。にもかかわらず、若い頃と同じように体力任せに働き続けることはできません。そのような働き方は、身体、そして、心を壊す原因にもなりかねません。

私が、産業医面談で数多の長時間労働者をみてきて言えることは、加齢による体力低下に上手に対処できている人は、「翌日に頭が回らなくなる」「仕事効率が落ちてしまう」「いいパフォーマンスが上げられなくなる」ような状態にならないように、事前に対応しているということです。

たとえば、最低○時間は寝ないと翌日午後に頭が回らなくなる、3日間4時間(以下)睡眠が続くと集中力を維持できないなど、自分はどのくらいの無理が可能か、このラインを超えたらまずいという限界を知っていることは、いい結果を出し続けるためにも大切なことです。

続いて、「業務が忙しい時期が終わった後は、何か決まってやっていることはありますか?」とAさんに聞いてみました。

Aさんは、土日であれば必ず2日間、午前中にジムとサウナに行って、午後はお昼寝をすること、夕食は多少のお酒と共に、家族とゆっくり過ごすことを教えてくれました。そうすると月曜日にはもう普通に元気とのことです。

スポーツジムのランニングマシンで走る男性
写真=iStock.com/wombatzaa
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忙しい時期が終わった後は「セルフケア」を欠かさない

タフでハードな職場で中年になっても成果を出し続けることができる人は、忙しいプロジェクトや緊急案件が終わった後のセルフケアも忘れてはいません。どのように過ごせば、自分の心と身体がリセットされてニュートラルな状態に戻るのか、また元気に働けるのか、自分自身のことをよく知り実践しています。

たとえば、ジムやサウナに通う、週末に有給1日を加えて2泊3日で温泉に行く、土日連日エステやマッサージに行く、自分へのご褒美に××を食べるなど、忙しかった自分をねぎらい、ご褒美を与えて気分転換している人は、自分のリセット方法を知っている人だと思います。1日しか休みがなければ何をする、3連休ならば何をするなど、休暇可能期間に応じてのリセット方法を持っている人もいます。

「Aさんは何か運動を定期的にやっていますか?」

Aさんは10年前の交通事故後、リハビリにしばらく通っていましたが、その後どうしているのかはわからなかったため、この質問もしてみました。すると、リハビリ終了後はパーソナルトレーニングを週1回していること、当初は筋トレしてムキムキになるのが目標だったけれど、週1回では無理と諦め、今は歳をとっても壊れない身体と体力向上を念頭にやっていることを教えてくれました。

トレーナーとの相性も良いためずっと続いていて、もう鞭打ちで悩むこともないし、身体的には30代の頃よりもフィットしていると感じているとのことでした。