「30代後半の部下がいつも疲れている」という相談
こんにちは。産業医の武神です。私のクライエントは外資系企業を中心に20社ほどですが、そこで働く社員たちの平均年齢は30代と若めです。これは外資系特有のUp or Out(昇進するか退職するか)という企業風土のためでもありますが、タフでハードな職場で成果を出し続けるには、それなりに“若さ”が必要なのだと思います。そこで、今回は外資系企業で中年になっても成果を出し続けている人たちの習慣について述べたいと思います。
Aさんは数年ぶりに産業医面談に来た40代中頃の管理職の男性でした。7年ほど前、交通事故にあったAさんは鞭打ち症やリハビリに絡んで産業医面談の常連になっていましたが、その後体調も回復し、今回は数年ぶりの面談でした。
相談内容は信頼している部下の30代後半男性Bさんについてです。決してメンタル不調ではなさそうだが、いつも疲れ気味に見えて心配とのことでした。よく聞いてみると、Aさんの部署は不定期に突如忙しくなり、それが数週間続くこともあるとのこと。Bさんは部署内ではいつも最初に残業で体が悲鳴を上げてしまうようで、忙しい時期の終盤になると、よくダウンしてしまうとのことでした。
チームの他のメンバーはBさんよりも若いためそんなことはなく、AさんはいずれBさんがこのチームを引っ張って行く立場になることを思うと、Bさんは適任ではないのかもしれないと最近思ってしまうとのことでした。
「4時間以下の睡眠は2日まで」と決めているAさん
確かにAさんの部署の業務は、長い残業時間が続くこともあり、体力的に楽ではないことはAさん自身も自覚しているものの、40代のAさんができていることをBさんが体力的にできないことがどうも引っかかってしまっているようでした。
私はAさんはタフでハードな職場でも長持ちするタイプとわかっていたので、いくつかAさんに質問をしてみることにしました。
「Aさんは、仕事が忙しい時でも、自分の限界、これを超えると業務効率が落ちてしまう限界って把握していますか?」
Aさんは、若い頃は体力のかぎりがむしゃらにやっていれば、どんなに忙しい仕事であってもなんとか乗り越えられたこと、でも30代の途中からそうではなくなったことを教えてくれました。そして今は、4時間以下の睡眠が2日連続すると3日目は明らかに業務効率が落ちることを自覚しており、そのようなときは必ず、翌日に昼に1時間ほど仮眠するか、残業はそこそこに帰宅し、6時間以上は寝ることを意識していると教えてくれました。