朝の方が処理能力が1.5倍高かった

 朝の貴重な数時間で家事と仕事を両立させるためには、家事を省力化する工夫やインフラづくりが欠かせません。2人目が生まれたときにインフラにはお金を惜しまないと決めて、全自動洗濯乾燥機や食洗機、電動自転車などの製品を買い揃えました。

前日の就寝時間の22時までに洗濯機などの予約を済ませ、子どもに絵本を読み聞かせながら一緒に寝ます。短時間のうちに深い快適な睡眠をとるために寝具類もいろいろ探しました。

翌朝3時。最初のうちは目覚ましを複数個かけて最後の時計が鳴ってようやく起きる感じでしたが、今は鳴る前の気配でパッと起きるようになりした。まず家事を済ませてしまいます。夜中のうちに洗濯乾燥が済んだ洗濯物をたたんで、その日の夕食を準備する。食事の手抜きはしたくないし、「お袋の味」を子どもたちに味わわせたいので手作りにこだわり、短時間で調理できる圧力鍋を買いました。

家事が一段落した後の4時、5時ごろから台所で仕事に取りかかります。起床後はずっとBGMにモーツァルトをかけています。ソニー創業者の井深大さんが研究されていた幼児教育にはまっていたとき、モーツァルトやシューベルトを子どもに聞かせると絶対音感が身につくとか、穏やかな性格に育つという話を聞いて、私にも効くかなと思ったのです。

大人にも効果大です。モーツァルトの曲をかけると部屋中に穏やかな空気が流れて頭が冴えるんです。メール作成時には文面が降って湧いてくるような感じ。それに朝は夜よりも効率よくメールが処理できます。実験してみたところ、朝の方が1.5倍くらい処理能力が高かった。

早朝に出すメールにはいろいろな利点があることもわかりました。例えばその日に答えが欲しいものほど早い時間にメールしておく。人間の習性なのか、相手は早く届いたメールから処理してくれるので午前中に返事が来て、その日のうちに案件を片付けることができます。

私の経験では優秀な経営者ほど早起きです。スマートフォンが普及したおかげで、自宅でメールをチェックしていることも多い。最初のうちは早朝にメールをすると顰蹙を買うかなと恐る恐る出していたのですが、そんなことはなくて、すぐに返事をくれます。それにまた私が返信して、返事が来て……とチャット状態になって、一仕事終わることもあります。

しかも私も相手も在宅中は半分仕事、半分プライベートな気分で過ごしているせいなのか素直な気持ちでメール交換ができて、お互いの距離が近づく感じがします。だから昼間のメールでは書けないような“友達ことば”でも許されてしまうところがあります。そのときの私の格好は部屋着のまま。それがかえって完全に仕事モードにならず、素の気持ちを文面に表すことができるのだと思っています。

企画を練る、資料を準備する、TODOリストを作るといったことも、誰にも邪魔されない朝の時間を使うとはかどる。早朝から頭を使うことでお腹がすいて、朝食をしっかり食べられて健康にもいいんです。