緊張状態が自然に生まれるので、作業の能率も上がる
米国アラバマ大学のパトリシア・バレットは、最初に数が与えられ(75など)、スピーカーから「3」といった数字が流れたら、頭の中でどんどん足し算をしていくという作業をやらせてみました。
やさしいバージョンでは5秒間隔、難しいバージョンでは2秒間隔で数字が伝えられました。
この作業をしてもらうときの心拍数や血圧を測定してみると、2秒間隔での暗算をしなければならないときに、どちらも高まることがわかりました。
タイムアタックをしなければならないと、私たちは緊張します。心拍数や血圧が上がるのはそのためです。
そういう緊張状態が自然に生まれるので、作業の能率も上がるのです。
締切りがないと、私たちの心はひどくのんびりしてしまい、だらけてしまいます。
ですので、自分の行動には、どんどん締切りを設けたほうがいいわけです。いい緊張感が生まれますから。
たっぷり1カ月はかかりそうな仕事でも、「2週間で何とかならないか?」と考えてみてください。そうやってタイムアタックをしたほうが、仕事は面白くなります。
普段の業務にすっかり慣れてしまい、ルーティン作業で面白くないと感じている人もいるでしょう。そういう人にも、タイムアタックは効果的です。
いつものようにやるのではなく、時間を短縮するゲームなのだと思いながら取り組んでみてください。普段の仕事でもタイムアタックをしてみると、意外に楽しめるものです。
仕事は、難しいほどやりがいがある
慣れた仕事を淡々とこなすだけでは、面白くありません。すでにクリアしたゲームをやるようなもので、ちっとも気分が盛り上がらないのです。
仕事というものは、難しいほどやりがいがあるのです。
南ミシシッピ大学のリー・ユーバンクスは、課題の難しさがやる気と緊張を生み出すことを実験で確認しています。
実験の参加者は、コンピュータの画面に現れる一連のアルファベットの文字列(Y、G、O、Mなど)を暗記します。
4秒が経過すると、いったん画面が真っ黒になり(1秒間)、それからアルファベットが出ます(Oなど)。
そのアルファベットが先ほど覚えた文字列の中に入っていれば、「イエス」のボタンを、入っていなければ「ノー」のボタンを押すのです。
なお、文字列の記憶は、条件によって1文字のこともあれば、4文字、7文字、10文字、13文字もありました。
覚えるべき文字数が多くなればなるほど、正解するのも厳しくなります。
そのときの血圧と心拍数を調べたところ、4秒間で覚えなければならない文字が増えれば増えるほど、血圧と心拍数も高まることがわかりました。
血圧と心拍数が上がるということは、それだけ身体が活性化しているということです。