一方は受験生が「学費が安いから」と黙っていても集まる公立大、一方は「学費が高そう」と敬遠されがちな私立大という事情を割り引くにしても大きな差だ。これは大学広報の失敗も一因にある。2010年に配布した「2011大学案内」には、表紙に「『教養教育』を本気で考えた、贅沢な大学」とある。贅沢と言われても、これではよくわからない。中も教養教育の話が中心となっている。

「バリュー株はどこか」と気になる採用担当者や受験生の親にとって一番気になるTOEICスコアの推移は一番後ろのページに掲載されている。これではわかりにくく、受験生が集まらないのも無理はない。

09年に就任した隈元学長は、「リベラルアーツ(教養)教育がわかりにくかったようだ。それから、宮崎はじめ南九州では国公立志向が強い。広報もややのんびりしていたため、10年から高校訪問や短大編入者受け入れなどを始めた。11年4月入学者は2010年に比べ若干増加する見込みだ」と話す。

宮崎国際大学の校舎は、渡り廊下でつながれた2つの棟のみ。小規模大学の利点を生かした、少人数制の授業でみっちりと学び、力をつける。

隈元学長は今、「中退率ゼロ」「就職率100%」「卒業時のTOEICスコア700点」を目標に奮戦中だ。

中退率をゼロにするために、カウンセリングの手法を学んだ先輩学生や、プロのカウンセラーに悩みを相談したり、勉強を教えてもらう仕組みがある。1年生に関しては、学級担任が月に一度面談を行う。こうした取り組みの結果、09年度は9人いた中退者が10年度に1人に減少した。手取り足取りの行き届いた教育で、入学時に勉強が苦手な学生でも、在学中に成長させようというのが同大学の方針である。

国際教養大や宮崎国際大に限らず、今、日本では英語が身につく大学、国際的に活躍できる人材を養成する大学が増えている。一覧表にまとめたので参照していただきたい。

多くの学部があるなかで、どのように選べば失敗がないだろうか。国際関連の大学の選び方について国際教養大・中嶋学長は次のように話す。

「英語での授業、外国人教員、カリキュラムの3つがポイントです。特にカリキュラムは広い視点を持てる教養科目が充実しているかどうか。例えばわが校では、人口学や安全保障に関する科目があります。理数系も含めた科目がきちんとあるかどうかも、見てほしいと思います」

(図版※注:偏差値は代々木ゼミナールの入試難易ランキング(2011年)より)

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)
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