下水に浮いた油を汲み取り、料理店で2年間使い続けた

過去の食品スキャンダルが記憶に新しい中国では、消費者の不安が高まっている。2008年には、汚染粉ミルクにより6人の乳児が死亡し、30万人以上が被害を受けた。また、2013年には、上海の飲料水の水源である黄浦江で1万6000頭以上の死んだ豚が見つかった。

下水に浮いた油を汲み取り、料理店で2年間使い続けた衝撃的な事件もある。2020年、再生廃油から食用油を精製していた問題が発覚した。再生廃油から有害な食用油を製造した「下水油」スキャンダルだ。

マンホール蓋
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下水油とは、レストランのフライヤーや下水、そして排水から油脂分を分離・回収するグリーストラップから回収された廃油をベースに、再加工して作られる油を意味する。元となる油は、下水道のマンホールの蓋を開け、長い棒を差し入れるなどして汲み取られる。

この油には発がん性物質やその他の毒素が含まれている。本来は工業用油として使用されるべきところ、北京を拠点とする英字メディアのベイジナーの報道によると、露天商や小規模レストランに販売されていた。

コスト削減のために下水油を使用するケースも…

同年、山西省の人民裁判所が下した刑事事件の判決によると、陝西省の楡林市にある小龍坎火鍋のフランチャイズ店が、鍋のスープのベースとして下水油を使用していた。中国国営英字紙のグローバル・タイムズは、同店が2年間にわたって2トン以上の下水油をスープに使用していたと報じている。有害な原材料の製造、販売、流通に関与したとして、5人が起訴された。

小龍坎は2014年創業の人気の四川風火鍋チェーン店で、中国全土で急速に店舗数を拡大している。中国本土に1000店舗以上を構え、海外では東京(新宿・上野)、メルボルン、ニューヨークなどの都市にフランチャイズ店を展開している。

北京日報の記者が当時、小籠館食品安全ホットラインに電話したところ、電話口のスタッフは、起訴されたレストランとのフランチャイズ契約を終了したと説明した。さらに、小籠館飲食管理有限公司は謝罪声明を発表し、2019年の調査開始以来、当局に全面的に協力してきたと述べている。

下水油の使用は、この店舗に留まらない。専門家はベイジナーに対し、複数のレストランでコスト削減を目的として下水油が使用されているケースがあり、こうした非合法なビジネスに多くの業者が関与していると説明している。

期限切れの食材でも「下痢止めを混ぜれば問題ない」

食品スキャンダルは尽きない。昨年には、期限切れの食材に下痢止めとして用いられる薬を混ぜて提供していたことが発覚した。江蘇省南通市のレストランで発生したこの事件は、同店の2人のシェフが関与していた。古い食材による食中毒を防ぐため、ゲンタマイシン硫酸塩を料理に混ぜていたという。