中国・国営英字紙のグローバル・タイムズによると、ゲンタマイシン硫酸塩は処方薬の抗生物質であり、現地で下痢止めとして使われることがある。同紙によると昨年9月、このレストランの従業員が自治体のホットラインに通報し、ゲンタマイシン硫酸塩注射薬を食品添加物として使用していると告げた。
これを受け、捜査機関がレストランを捜索したところ、厨房のゴミ箱から使用済みのゲンタマイシン硫酸塩の箱4つが発見された。シェフのオフィスからは、未使用の箱101箱が押収されている。レストランで提供されていた料理をサンプリング検査した結果、ゲンタマイシン硫酸塩が含まれていることが確認された。
薬局の販売体制も問題視されている。ゲンタマイシン硫酸塩は聴力や腎臓に障害を引き起こす可能性があり、特に子供や高齢者は問題を生じやすい。処方薬であり、薬局が処方箋なしに販売することは許可されていない。
中毒性のあるアヘンでリピート客増をもくろむ
しかし、香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙によると、このレストランの従業員は処方箋なしにこの薬を購入できていたという。事態を受けて地元当局が335の飲食店と508の薬局を調査したところ、複数の薬局が長期間にわたってゲンタマイシン硫酸塩を違法に販売していたことが明らかになった。120の薬局に業務改善命令が出されている。
今年4月23日、2人のシェフはそれぞれ懲役2年と1年6カ月、執行猶予2年の判決を受けた。16万元(約330万円)の罰金が科されている。
別の目的で、添加物を混ぜ込んだ事件もある。米CNNは2016年、アヘンケシ由来の成分を麺に使用していたとされる食品スキャンダルを報じた。中国国家食品薬品監督管理局は、35軒のレストランを調査中であり、そのうち5軒はすでに起訴されたと発表した。こうしたレストランの料理から、アヘンケシから精製されるモルヒネとコデインが検出された。
中国ではケシの添加が2013年から禁止されているが、CNNによると、ケシの粉末を食品に振りかけることは珍しくないという。英BBCによると、北京の人気レストランチェーン「フーダ・レストラン」も調査対象となっている。同社のゼネラルマネージャーであるフー・リン氏は、同社が意図せずアヘンを含む調味料を購入した可能性があると説明したが、それ以上の詳細な説明を避けた。
2014年にも、中毒性によりリピート客を得ようと考え、アヘンを麺に混ぜた麺料理店の店主が、10日間勾留されている。客の26歳男性が麺を食べた後、偶然に警察官の麻薬検査を受けたことで発覚した。
猫500匹をレストランに販売しようとした男
中国の食品業界をめぐっては、身近な動物を食材として販売しようとした例も報じられている。2017年の中国・江蘇省九江で、ある男が500匹の猫をレストランに売ろうとしていた事件が発覚した。
男はスズメやペットの鳥をおとりに使い、野良猫やペットの猫をおびき寄せては捕まえていたと報じられている。多くの猫がケージに入れられ、小型トラックの荷台に詰め込まれていた。米ワシントン・ポスト紙は発見当時、暑さで死にかけの状態だったと報じている。男は常習的に、1匹あたり30元(約620円)ほどで猫を売っていたという。別の男性が、自分のペットが盗まれたと警察に訴えたことで逮捕につながった。