世界最高レベルの理系大学
インドと聞いて、みなさんは何を想像するだろうか? かつては「カレー」や「神聖な牛が道を闊歩している姿」「ガンジス川での沐浴」や「ヨガ」あたりが代表格だったかもしれないが、近年では「ITエンジニア大国」、そして話題の「インド式算数」を挙げる人も多いはずだ。
インド政府人材開発省が2008年に発表したところによると、アメリカにおいては航空宇宙局(NASA)の科学者の中の36%がインド人だ。また、博士号保持者の38%はインド人で占められ、米マイクロソフト社の職員のうち34%がインド人。外科医の10%がインド人だし、一方、英国では医師の40%以上がインド出身だ。これらのデータから見ると、インド人は知的で、特に理系の分野では非常に優秀であることがわかる。
この国で最難関といわれるインド工科大学(ITT=15の国立高等教育機関の総称)には、大学で講義が行われない試験休み期間になると、世界中の有名企業がリクルーティングにやってくる。たとえばヤフー、インフォシーク、シティバンク、シーメンス、IBM、メリルリンチなど160社が教室を借りて、各社2日間で企業説明会から入社試験・面接まで行い、一気に採用まで決めてしまうのだ。グズグズしていたら優秀な人材を他社に横取りされてしまうので、決定権のある役員も欧米の本社からやってきて、即決。採用された学生たちの多くは欧米に渡るが、初年度から年収1千万円を約束される人も少なくない。