インドの経済成長が著しい。現地で教育事業を立ち上げた松本陽さんは「その原点にあるのは高い教育熱だ。インドではトップ大学の合格は人生の成功を意味する。それを勝ち取るため、学生はものすごい熱量で勉強している」という――。(第1回)

※本稿は、松本陽著、西岡壱誠企画『教育超大国インド』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

教室でノートに書き込む学生
写真=iStock.com/lakshmiprasad S
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インドの私立学校で私が驚いたこと

私は、教育事業を行うベネッセホールディングスにてインド現地法人の取締役を務め、現在は自身でインド現地で教育事業を立ち上げている。

そんな私が最初に訪れたのはデリー首都圏の私立学校の一つで、首都圏の中でもお金に余裕がある親御さんが多く、アッパーミドルからアッパー層の家庭の子が中心の学校で、学力的にはトップ10%くらいの学校でした。

訪れてまず率直に思ったのは、「日本と全然変わらない、っていうか日本よりも環境がいいんじゃないか」ということでした。机も日本の学校と同じようなもので、教室の後ろや廊下には至る所に、偉人の格言・名言が綺麗に印刷されたポスターが貼られていました。

そして当たり前のように、パソコンルームには最新のマックブックが一人一台ずつ置かれてあり、さらには理科室のような場所には、STEAM教育用かと思われる、様々なロボット系の器具が所狭しと置かれているなど、設備的には日本よりも揃っているのではないかと感じました。

その上で、生徒さんを観察していて驚かされたのは、「基本的には休み時間もずっと勉強している」ということでした。みんな非常に勤勉で、休み時間だろうと関係なくずっと机に向かっている生徒が半分以上でした。

もちろん日本にもそういう学校があるとは思いますが、それにしても頑張っているな、と感じました。クオーター(四半期)ごとの学力テストでクラスが分けられるそうで、そこで上位と下位が分かれてしまうので頑張っているのだとか(インドのすべての学校がそうなのではなく、都市部を中心としたアッパーミドル層以上の私立の場合と私は理解しています)。