夕食後はチョコレート菓子を避ける

このアデノシンとカフェインは、化学構造がよく似ています。平たくいうと、カフェインはアデノシンの「鍵」の形と近いのです。カフェインを摂取すると血中から脳に届けられて、アデノシンが差し込まれるはずの「鍵穴」を、カフェインがブロックしてしまいます。

つまり、アデノシンが溜まってきても、神経細胞の受容体と結合できずに、結果的に眠りの誘導が妨げられるのです。

このようにアデノシンが脳のなかで働く過程を阻害する、カフェインの覚醒作用は4時間ほどといわれています。

また覚醒作用も個人差がありますが、コーヒーを飲んでもふつうに睡眠できる人は良いでしょうが、日ごろ、眠れなくて困っている人は、夕方以降はコーヒーやお茶を控えるに越したことはありません。

また夕食後にデザートを食べるときは、チョコレートやチョコレート菓子を避けたほうが、カフェインの影響を受けにくいでしょう。

人間と共存する「腸内細菌」の主な働き

毎日の食生活を気にかけることで、睡眠の質は大きく改善する可能性が高まります。これには「腸内細菌」が関わっています。

私たちの腸には、1000種類以上、40兆個以上の腸内細菌がいます。これら腸内細菌は、人間の都合で、いわゆる善玉菌、悪玉菌、日和見菌ひよりみきんという名前で分けられており、さまざまな細菌がバランスをとりながら、腸内環境を形づくっています。

腸内環境のバランスは、3〜5歳で決まり、その後、食生活や生活習慣、喫煙やアルコール、抗生物質の過剰な摂取などによって人によって大きく異なってきます。

人間と共存して健康や長寿に深く関わっていることが知られる腸内細菌の主な働きは「守る」と「つくる」です。

守るとは、腸にいる免疫細胞を活性化させてウイルスや菌などから体を守る役目。つくるとは、私たちが食べた炭水化物などをエサにして、ビタミンや短鎖脂肪酸など体に良い物質へとつくり変える役目です。

神経伝達物質の一種で気分や意欲をコントロールしている「セロトニン」の一部も腸内細菌からつくられています。