書字と不安処理の関係
発達障害の子どもは、書字が苦手な子が多くいます。
文字が覚えられない、不器用で書けない、文章を思いつけない、など、高い確率で書字の困難が生まれます。
同時にいろいろな支援も開発されているのですが、書字の苦手さに大きく影響を受けるのが、不安の処理能力です。
何か不安があったとき、不安の原因や自分の考えたこと、感じたことを書き出していくことで、不安のもとになった現象を紙の上に視覚化していきます。
すると、現象を自分と切り離して、客観的に見ることができるので、
「怖かったけど、実はたいしたことなかったんだな」
「次はこうすればいいんだな」
というように気持ちを前向きにしていくことができます。
しかし、書き出すことなく、悩んでいる状態ですと、いつまでも自分を客観視できないため、脳内で不安やネガティブな感情が回り続けます。
そのため、書字の苦手さは、不安が解消されない大きな要因の1つであり、また、発達障害の子どもが、「負の体験の記憶が残りやすい」のは、「言語化が苦手だから」という理由もあると推測されます。
自分の気持ちを言語化することの効果
そこで、本人に書字を練習させて、自分の気持ちを言語化できるようにする、という支援は重要です。
フリック入力やタイピングでも同様に有効ですし、本人が書けない場合は、周囲の人が文字起こしして、外部化していくのも効果的です。
ただ、タイピングですと、情報の視覚化が難しい内容もあるので、成長していくとともに、PowerPointなど、文字情報を図式化しやすいツールを使って対応することも効果的です。
このように不安や現状を言語化/視覚化することは、感情や思考を整理し、感情コントロールの力を適切に育てるためにも有効です。