結論からいえば、これも結局は、あなたの思い込みです。どんなに嫌な人間に見えても、もしその人が結婚しているなら、少なくとも1人はその人を好ましいと思った人間がいるわけです。そう考えれば、その人物について「汝の敵を愛せ」を実行するのもけっして無理ではないはず。

人を嫌いでいると自分自身が辛くなって損です。「私は誰でもウエルカム!」という気持ちで、常に笑顔を心がけていたほうが自分もラクです。

図を拡大
処方箋

かつて「おまえみたいなドジで育ちが悪いヤツは見たことがないッ」などと人格を否定する言葉を吐かれたため「絶対嫌い」となった上司。あるいは、接触しようと思っても怖さを感じてしまう苦手な上司……そういう相手にもコンタクトの仕方はあります。

その人物がニコニコと立ち話をしている輪に加わることから始めればいいのです。そして、「うん、うん」とうなずいているだけでいいのです。大切なのは場を共有した経験を積み重ねること。

そして、いつかチャンスを見て話しかけましょう。

どんなに怖くて嫌な人物でも、孫ができたとか子供が受験に合格したといった話題は誰にでも話したいもの。そういった機嫌の良いときに話しかけるのです。すると相手から上機嫌な軽口が飛びだしたり、あなたを褒める言葉さえ出てくるかもしれません。そうなれば怖さやわだかまりも消えるはず。以前、酷いことを言ったのは、たまたま夫婦喧嘩でもして機嫌が悪かったのだと思い直すこともできます。

それでも駄目なら、究極的には関係を断ち切るという方法もあります。しかし職場では、そうもいきません。ならば、最低限のコミュニケーションは確保したうえで、自分の気持ちのなかで線引きをしてしまうことを勧めます。たとえば連絡はすべてメールにする。そのかわり、こまめにメールすることです。できれば、「昨日、通勤途中で虹を見かけました」など、事務的なこと以外の言葉を添えるといいでしょう。

線を引いたうえで、それを感じ取らせないように、こまめにメールする。やがて、そのやりとりが好転のキッカケになることもありうるでしょう。

(構成=小山唯史)
【関連記事】
イライラしない練習
解明!「負の感情」に陥るメカニズム【1】診断テスト
人に好かれる「嫌いなクセ、欠点」逆転の活用法 -土屋賢二
「特別待遇の関係をつくる」5つの思考ステップ【1】気配り力診断テスト
悲観症克服:就寝前の「3つのよいこと」メモ習慣