初水揚げ量増加は大型船の出漁が早まった結果

今年、出始めから水揚げが好調だったのは、大型船の出漁が10日早まったことが最大の要因。サンマの漁業団体である「全国さんま棒受網漁業協同組合」(全さんま、東京)によると、漁の解禁日はこれまで漁船規模ごとに小型船(10トン以上20トン未満船)が8月10日、中型船(20トン以上100トン未満船)が同月15日、100トン以上の大型船は同月20日だったが、今年は一律に8月10日解禁とした。

「近年のサンマの漁場は遠い公海で魚群も薄いため、小・中型船の多くが出漁を見送る傾向がある」(漁業関係者)ことから、漁船規模に関係なく一斉に解禁されたのだ。そのため、例年より10日早く出漁した大型漁船が数日かけてサンマを狙い、例年よりも早く帰港したため、初物がまとまったようだ。

したがって「今年のサンマは豊漁?」といった状況ではない。念のため、サンマの資源に詳しい国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所の研究員に、あえて「今年のサンマ、豊漁なんですか?」と問いかけてみた。答えはすぐさま「NO」である。

今年のサンマは「来遊少なく、体重は昨年を下回る」

そもそもサンマの資源量はかつてないほど減少期に入っている。国内の水揚げ量は2014年までの約30年はおおむね20万トン以上で、2008年には35万トン近くに達するほど好調だった。ところがここ5年間は大不漁。年間数万トンしか獲れなくなってしまった。

同機構では毎年、漁期前の調査などを基にシーズンの漁況予想をまとめるが、今年のサンマ漁に関し「来遊は(昨年同様)低水準」と分析。漁獲されるサンマについては「昨年の体重を下回る」と、さらに小ぶりになるとの見通しを示している。

かつてのように秋以降に日本近海を南下する群れはほとんどなく、漁場は遠い公海。サンマ船の操業効率も悪いため獲れる量は依然少なく、さらにほっそりした魚体ばかりになるという、まさに不漁予想である。