「もっと水平に振って」では子どもには伝わらない

プロで経験してきたこと、培ってきたことをそのまま子どもに教えてもまず伝わりません。どういう言葉で伝えれば子どもの心に届くのか? そこは言葉を選びながら学年ごとに慎重にやっています。

聖澤諒『弱小チーム出身の僕がプロ野球で活躍できた理由』(辰巳出版)
聖澤諒『弱小チーム出身の僕がプロ野球で活躍できた理由』(辰巳出版)

特に技術面では「ここをもっとこうしなさい」と直接的に指導するのではなく、頭のなかでその子にも分かりやすい言葉に変換させてから指導するようにしています。

例えば、極端なダウンスイングをしている子がいたとして、それをレベルスイングで振らせたいと思ったときに「バットが上から出ているからもっと水平に振るようにしなさい」そんな直接的な言い方をしても、子どもは理解して修正できるわけではありません。

そうではなく「ちょっと天井に向かって打つ感じで振ってごらん」そんな言い方に変換してあげれば子どもにも分かりやすいですし、スイング軌道がちょっとレベルスイングに近づくようにもなるのです。

僕の恩師である國學院大野球部の竹田(利秋)監督は「指摘は簡単だけど指導するのは難しい」とよくおっしゃっていました。僕もそこは常に意識しています。

この子にはどんな言葉で伝えるのが良いのか、その子にあった「魔法の言葉」をプレゼントする気持ちで子ども達に向き合っているつもりです。言葉一つでその子を伸ばしてあげられる、そんな指導者でありたいと思っています。

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