「わからなかったら『わかりません』とちゃんと言おう」

こちらが何かをアドバイスしたときに、それに対して何も言わない子がいます。それだと子どもが分かったのか分かっていないのか、教える側は判断がつきません。

「教えても返事も何もしてくれなかったら、次からもっと教えてあげようという気持ちになるかな? どう思う?」

そんなふうに子どもに考えさせたり、「分からなかったら『分かりません』とちゃんと言うことも返事の一つだよ」そんなことを伝えています。返事をするにもロボットみたいに何でも「はい!」と言っていればいいのではありません。「しっかり返事をしてコミュニケーションをとろうよ」と子ども達にはいつも話しています。

「聞く」は、「耳で聞くだけではなくて相手の目を見て聞くと二倍の効果があるよ」と話しています。耳からの情報プラス話している人の表情、身振り、手振りを見て目からの情報も入れた方が理解する力が二倍になるからです。

「同じ時間に同じ話を聞いても、耳だけで聞いている人と、目で見て耳で聞いている人とでは大きな差が出るよ」

そんなことも話しています。

コーチの話を聞く少年野球の選手たち
写真=iStock.com/DenisePoshard
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野球を辞めても人として大事な姿勢が残ることを目指す

各クラスの練習時間は決まっています。そのなかでみんなが一番楽しみにしているのがバッティング練習です。では、バッティング練習をたくさんやりたいのであればどうしたらいいか? 「もうちょっと打ちたかった」と思うのであれば「どうしたらもっと打てたかな?」とそこも子ども達に考えてもらいます。

限られた時間を有効に使うためにはどうすればいいか?

例えば、集合のときにはダラダラ集まらずにパパッと集まる。そうやって行動を素早く行うことでバッティングの練習が少し多くできるようになるかもしれません。まずはそういうことに気付いてもらうことが大切かなと思っています。

リーダーシップのある子、意識の高い子は「早く集まって!」「早く! 早く!」なんて声を出してくれたり、良い効果が出ていると感じています。

挨拶、返事、聞く、行動を素早く。この四つが今日はできていても、翌週になると元に戻ってしまったり、なかなかすぐに身につけるのは難しい部分があります。だから根気強く言い続けますし、1年かけてできるようになれば良いなと思っています。

これらは学校生活にも通ずることですし、この先中学、高校、大学、社会人と進んでいっても無駄にならない大事なこと。野球はいつか辞めてしまう日が来るかもしれませんが、こういったことは野球を辞めてもその人のなかに残るとても大事な部分です。むしろ野球よりもこちらの方が大切だと、楽天イーグルスアカデミーでは考えています。