リアル店舗の楽しさをどう伝えるか
――さまざまなものがネットで買えるようになった現在、リアルな店舗ではコミュニケーションや「楽しさ」を重視するのが、とても大事だと思います。
まさにそう思います。店舗の周りのコミュニティとピザでつながる――。それ以上にいいことはないと思うんです。それこそ実際に店舗ごとに、地元のスポーツクラブなどに関わったり、そういったことが本当に大事だと思っています。
――店舗を重視されているというのは、とてもわかりました。一方、最近、ドミノ・ピザはかなりの店舗数を閉店するという決定に踏み切りました。特に、今回の閉店によって、山形県からはドミノ・ピザがなくなってしまったことも話題になりました。
そうですね。これは、とても難しい決断でした。私は、ドミノ・ピザに27年ほど関わっているのですが、私が働いているのは、お店を開けるためであって、閉めるためではない。ただ、おっしゃる通り、コロナ禍の中で年100店舗以上に及ぶ急拡大をしました。なので、今年、戦略的にいくつかの店舗を閉店する決断をした。その結果の1つとして、今は山形から一時撤退する形になります。
ただ、確実に約束できるのは、必ず戻ってくる、ということです。確実に。この先、お客様にまたピザを届けられるように、必ず戻ってきます。
ピザ業界の日本市場での難しさは?
――コロナ禍での急拡大も、閉店の背景にあったと思いますが、もう一つ、「日本市場の難しさ」もあったのでしょうか? マーティンさんは、オランダと台湾のドミノ・ピザでも働かれた経験をお持ちですが、そのマーティンさんの目から見て、日本市場はどのように映りますか?
日本のピザの品質は、他の国のピザと比べると格段に良いんです。なおかつ、サービスの質の良さもとても高いです。私が今までいたどの国よりも確実に良いです。なんでしたら、全ての外国人を一度日本に招いて、本当に学んでほしいと思う。こういうサービスをお客様に届けるべきなんだと。
一方、その分、日本のお客様は、届いたときのサービスが悪かったら許してくれない。そう、強く思っています。
――サービスの質の維持が難しさになると。
だからこそ、私たちはオペレーションの一貫性を大事にしています。どの時間帯に頼んでも同じものが、同じサービスで届く。これをちゃんと保証したい。お客様がリピーターになってくれるのは、そうした質の高さがあるからだと考えています。
――最後に、これからのドミノ・ピザが目指す方向をお教えいただけますでしょうか?
商品ももちろんですが、サービスでも、しっかりと皆さんの期待に合ったものを届けようと考えています。全てのお客様に対して、求めるものを届けたいと思っています。ただ、それだけでなくて、その期待をどう超えていくか、それを考えています。
――それが、対セブン‐イレブンの戦略になっていくわけですね。
ドミノ・ピザ ジャパン CEO マーティン・スティーンクス(Martin Steenks)
オランダ出身。学生時代にアルバイトドライバーとしてドミノ・ピザ オランダに入社、入社後まもなく店長として「ルーキー・マネージャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。その後、マネージャー、スーパーバイザーを経て、2011年にはフランチャイズオーナーとなり、店舗を8店舗まで拡大させる。2021年9月 ドミノ・ピザ 台湾 CEOに就任、2022年7月 ドミノ・ピザ ジャパン CEOに就任して現在に至る。また、2016年にはマルチユニットフランチャイズオブザイヤー、2017年にはゴールデンフラニーなど社内賞を多数受賞している。