「おひとりさま」需要を狙う「ピザBENTO」

――セブン‐イレブンが参入することによって、ドミノ・ピザのターゲット層はどのようなものになるのでしょうか?

今の私たちが注力しているのは、主に2つあります。1つが、「おひとりさま」需要です。そして、もう1つが、今までも特に獲得できていた「ファミリー」需要だと思います。特に「おひとりさま」需要は、世界的に見ても最も急速に拡大しています。

――なるほど。「おひとりさま」需要でいうと、セブン‐イレブンとかなりターゲット層がかぶりそうですが、どのような戦略を取るのでしょうか?

その一つが「ピザBENTO」です。直径15センチほどの、1人用の小さいサイズのピザとサイドメニューを組み合わせたものですね。

そういったおひとりさまに合った需要で、ピザとサイドメニュー、それにドリンクが1つにまとまった食事を提供することができないか、と考えました。値段も590円~にして、特にランチでピザを食べる学生さんに見合うものになっています。

ピザBENTO
写真提供=ドミノ・ピザ ジャパン
ピザBENTO

――「BENTO(弁当)」と付いているのが名称として面白いですよね。

実は1年前にも、同じ内容の商品を「マイドミノ」という形で出しているんです。ただ、消費者調査をすると、この名称からは、メンバーシップカードやポイントカードをイメージする人が多いことがわかりました。

さらにお店からも聞き取り調査をしたのですが、そのときにわかったのが、マイドミノをお客さんに説明するとき、「マイドミノ」と言わずに「ピザBENTO」とか「お1人様向けピザ」、と説明していることがとても多いこと。さらに、その「ピザ」という言い方は、お客さん側から考案されたものだったようなんです。

――元は、お客さんが言い始めたものだったのですね。

そうしたお客様の声を受けて、「マイドミノ」を、もう一度、ピザ という形でリブランディングしようと思いました。それと、「弁当」にしたのは、持ち運びの問題も考えています。お客さんがこれを持ち帰るとき、自転車やバイクのカゴに入れることもあると思うのですが、お弁当箱のサイズがちょうど、カゴにぴったりなんです(笑)だから、「弁当」と名乗っています。

――なるほど(笑)

「オフライン」を重視して高齢者対応を

――セブン‐イレブンの宅配サービスは、家からコンビニまで通うのが難しい高齢者にも対応する狙いがあります。日本では高齢化が深刻な問題となっていますが、ドミノ・ピザではなにか対応策を考えているのでしょうか?

日本の約30%が65歳以上だといわれています。ですから、対策を考えています。若年層とは違うアプローチが必要です。例えば、彼らはスマホを持っていなかったり、SNSを使っていなかったりなど、そういう部分がすごく違うと思うんです。

だからこそ、私たちはまだ、テレビを宣伝チャネルの1つとして大々的に使っています。それ以外にも、私たちはオフラインと呼んでいますが、オンライン以外でコミュニケーションを取るための工夫も重視しています。実際、そういった方々にどういうふうに、店舗での楽しさを体験していただけるか、お店に来ていただけるかが大事だと思っています。

ドミノ・ピザでは、子どもも大人も楽しくピザ作りが体験できるピザアカデミーという取り組みを開催しているんです。このピザアカデミーの体験を、高齢の方々にもアプローチできないかと思っているんです。ちょうど2週間後に敬老の日があるので、その時にキャンペーンとして、実際に500円で高齢者の方にも参加していただけるキャンペーンを行います。