牛肉を買うときに注目すべきは「数字」
一方、5段階からなる肉質等級は、おいしさの評価に重要な影響を与えます。まず、ロース肉部分の「脂肪交雑」、「肉の色沢」、「肉の締まり及びきめ」、「脂肪の色沢と質」の4項目を5段階の等級で評価します。
脂肪交雑とは、ロース肉の赤身の部分に分布する脂肪の状態を示しており、基準に合わせて5段階で評価します(図表4)。黒毛和牛肉では、小さな脂肪交雑がロース肉全体に広がっていて、高い評価がつけられます。
一方、乳牛ホルスタイン種の雄牛の肉は、脂肪交雑が少なく、評価は低くなります。
また、肉の締まり及びきめのほか、肉や脂肪の色も「牛肉色基準(B.C.S.)」や「牛脂肪色基準(B.F.S.)」と見比べて、5段階で評価されます。
最終の肉質等級は、図表5に示すように、4項目のうち最も低い項目の等級が、その枝肉の肉質等級として決定されます。
皆さんは、牛肉の購入時は「A」や「B」ではなく数字(1〜5)を見てください。
“5等級がおいしい”とは限らないワケ
このように牛肉は、3段階の「歩留等級(A~C)」と5段階の「肉質等級(1~5)」により、A1~A5、B1~B5、C1~C5のように15とおりに評価されたあと、市場に流通されます。
肉質等級で「5」と評価された黒毛和牛肉は、値段も高く、高級ではありますが、それがかならずしもおいしいとは限りません。
確かに、見た目がきれいでやわらかく、脂肪由来の甘い香りも強いのですが、肉のおいしさに重要な赤身肉部分の味わいが弱くなるので、赤身肉の味わいを求めている人には、もの足りなく感じます。
また、やわらかいため、あまり嚙まずに飲み込んでしまい、たれの味わいだけしか味わっていない場合も多いのではないでしょうか。やわらかい肉でも、10回以上嚙んで、高級な黒毛和牛肉をしっかり味わってみてください。
肉質等級が「4」だと、「5」のものより脂肪交雑は少ないのですが、甘い香りだけでなく赤身肉の味わいも感じられるので、本来の牛肉の味わいを楽しむことができます。
いろいろな肉質等級の牛肉を食べて、自分がおいしいと思う肉質等級を選んでみてください。