若手の3割を占める必要最低限しか働かない「静かな退職」者の正体
必要最低限しか働かないことを「静かな退職」(Quiet Quitting)と呼ぶそうだ。自発的に仕事に取り組んでほしい会社にとっては何とも歯がゆい存在だが、実はそんな人が増えている。
「Great Place To Work® Institute Japan」は「静かな退職」を「仕事に全力投球するのを止め、必要最低限の業務をこなす働き方」と定義。2024年1月の調査によると、静かな退職を実施している人は34歳以下で30.7%に達している。
給料以上に稼いでほしい、仕事を通じて成長してほしいと願う会社から見れば「手抜き」感は否めないだろう。こういう人は若年層に限らない。
45~54歳 23.1%
55~59歳 18.3%
と、あらゆる世代に2割前後存在する。
この人たちは「退職するつもりはないが、昇進意欲もなく、積極的に仕事に意義を見いだせない人」でもある。率直に言えば、戦力以下の“働かない社員”“ぶらさがり社員”と見なされてもおかしくないだろう。
前出データでも触れたようにこうした働かない社員は若い世代ほど多く、当然、入社間もない新人にも少なくない。やる気に満ちているか思いきや、さにあらずなのだ。
「あっ、忘れていました。いつまでだっけ、先輩。私一人じゃ間に合いません。先輩手伝ってくれますかあ?」
消費財メーカーの営業職の主任は、2日前に仕事を依頼した入社1年目の新人女性からこう言われたという。
主任は「最近の新人は仕事を頼んでも忘れやすく、進捗確認をしょっちゅうしないと安心できない。本当にやる気があるのかと疑ってしまう」と嘆く。
本当に忘れっぽいのか、意図的なのかよくわからない。仕事に対する真剣さが感じられない点では共通すると語るのは住宅メーカーの総務課長だ。
「入社2年目の社員に『明日は大事なイベントがあるのでよろしく』と頼んだが、翌日の定時になっても出社しない。1時間過ぎた頃に『体調がすぐれないので休みます』と電話で連絡をしてきた。また、同じ2年目社員には課内の打ち合わせの最中に『トイレに行くので、ちょっと失礼します』という社員もいる。トイレで席を立つケースが多く、どうも面倒な仕事は回避したいという思いがあるのではないか」と語る。