「自分が死んだ後の未来なんて、どうでもいい」

いずれにしても「自分で得たものは、自分ひとりで使い切る」という社会観から、「子どもや孫のために自分が得たものを与え、継承していく」という社会観への移行ができるようなライフイベントを氷河期世代に適切に提供してこなかったこと――それがいわば遅効性の毒あるいは時限爆弾のように、日本社会に大きな禍根を残すことになる。

氷河期世代からすれば「次世代のことを考えて政治的な意思決定をしてくれ」と頼まれても、「なんで自分が死んだあとの、自分とは縁もゆかりもない連中のことを考えないといけないんだ?」と考えてしまう人も少なくはないだろう。繰り返しになるが私はそれを責める気にはならない。そういう考えを持つ以外のライフコースを用意できなかった社会にも相応の責任があるからだ。

大げさな表現をすれば氷河期世代は、これまで自分を虐げてきた日本社会に対する復讐のスイッチを手にしている。これを押さずに捨てることもできるし、押すこともできる。

2040年ごろには、かれらを「ロスト・ジェネレーション」にしてきた世代も完全に世を去っている。

そのときには、否応なく選択が迫られる。

【関連記事】
これほど健康にいい食べ物はない…高血圧、糖尿病、心不全の持病持ちの医師(64)が年に200回食べているモノ
年収350万円、体重100kg、趣味は「酒、麻雀、バイク、風俗」…52歳男性に結婚相談所が伝えた「残酷なひと言」
「最悪の就職氷河期」以上にカネも夢も希望もない…政府の大失策が招いた「若者が結婚しない問題」の本質
これを食べれば「錆びない体」ができる…医師・和田秀樹が「生」で摂取すると効果的と説く"野菜の名前"
「高齢でもヨボヨボにならない人」は明らかにその"数値"が低い…最新研究でわかった人間の寿命差を生む要因