転籍・出向対象者の心情を思いやる

マルハニチロホールディングス社長 
久代敏男氏

長らく人事畑を歩んできたせいか、気配りと聞いて真っ先に思い浮かぶのは人事の場面です。人事は人の一生を左右しかねないデリケートな仕事。何を進めるにしても、相手の心情を思いやることが必要でした。

とくに苦心したのは人員削減の場面です。私が大洋漁業に入社した1971年当時、弊社には陸上の従業員が約5500人、海上籍の従業員が約9000人いました。ところが、77年の200カイリ規制で遠洋漁業からの転換を余儀なくされ、労務コストを削減する必要に迫られました。そして、ニチロと統合する直前には従業員数が1000人を切っていた。