満期が勝手に延長される定期預金も

ざっと3類型のネット銀行をみてきました。やはり、一口にネット銀行と言っても、富裕層を対象に資産運用サービスを提供する銀行、特定の経済圏には縛られず、預金や投資商品、住宅ローンなど、総合的な金融サービスで資産形成をサポートし、資産残高に応じて優遇が受けられる銀行、特定の経済圏での利用がお得につながる銀行など、サービス内容はさまざまです。

当然ながら、銀行側が提供する「お得」は、儲けに貢献してくれる顧客ほどお得になるよう設計されています。「ポイント○倍」といった派手な広告に惑わされず、本当に自分にとってのお得かどうかを見極める必要があります。

ネット銀行に限りませんが、あまりにも目を引く高金利にも要注意です。預金の利率は1年あたりの利率を表示するのが一般的ですが、適用になるのが1カ月(年利率×1/12)などの短期間だったり、満期が勝手に延長になったり、為替次第で満期金が外貨になるなどの商品がありますので、しっかり中身を確認するようにしてください。

たとえば、楽天銀行の「楽天エクステ預金(フラット)」という仕組預金は、当初の預入期間は1年ですが、銀行が延長特約を行使すると預入期間が1年ごとに延長され、満期日が最大で10年後もしくは15年後となる可能性があります。

商品詳細説明書には「延長特約を行使する権利は当行にのみ帰属し、お客さまに延長特約を行使する権利はありません」とありますので、ひたすら銀行の判断に従うしかありません。

中途解約は「元本割れ」のリスクがある

さらに厳しいのが中途解約のペナルティです。原則として中途解約はできませんが、顧客からの中途解約の申し出に対し、やむを得ないものと認めて銀行が応じる場合等において、「当行所定の計算方法により算出した損害金を直ちにお支払いいただきます」とあり、損害金が差し引かれることによって元本を下回る可能性も明示しています。

このようなリスクを織り込むからこそ、通常の定期預金よりも高い金利がつけられているのですが、現時点での「楽天エクステ預金(フラット)」のキャンペーン金利は、最長15年となるタイプが0.661%(2024年9月11日まで)、最長10年となるタイプが0.331%(同)で全期間一定となっており、特別に高金利とも言えません。

楽天銀行の通常の定期預金金利は、最も高い10年で0.25%ですから、相対的に高いと言えるのでしょうが、顧客は楽天銀行以外の銀行を自由に選ぶことができます。