新卒の場合は親の住民税が減税される
では「今年退職して無職になった場合」はどうなるでしょうか。
住民税は「令和5年分」の住民税を1年遅れで今年払う仕組みです。そのため、退職していても、今年支払う住民税から1万円が定額減税されます。
一方、所得税減税については、令和6年末の時点で判定されます。給与収入がないため、令和6年分の確定申告(令和7年2~3月)で、3万円減税されることになります。
また、引ききれない場合は、さらに調整給付金が支給されることになります。
ほか、「新卒で今年就職した」場合はどうなるでしょうか。
「3万円の所得税減税」は、就職した会社の6月給与で減税されることになります。
ただ、住民税については、昨年まで親の扶養に入っていたことになるので、新卒1年間は住民税ゼロとなります。
そのため、「1万円の住民税減税」は、親の住民税から引かれることになります。
デジタル庁ソフトが計算ミスをしていた
こうした複雑な仕組みが災いしたのか、役所がミスするケースも出ています。
私が把握している中で、次のような事例がありました。
「妻と子供、扶養家族3人の家族で、令和5年の年末調整で『扶養3人』と申告していた。その後、妻の収入が多かったことがわかり、令和6年3月の確定申告で『扶養家族2人』に訂正した。
しかし、住民税の通知書を見ると、『扶養3人』で住民税の定額減税が計算されていた。つまり『扶養3人→2人』の訂正が反映されていなかった」
なぜこんなことが起きるのでしょうか。実は住民税の定額減税については、デジタル庁が作った専用ソフトを使って計算している市区町村が多いようです。
そのソフトの入力時点において「扶養3人→2人」への訂正が反映されておらず、計算ミスが発生したと思われます。
このように、役所の計算が間違っているケースも否定できませんので、各自、給与明細や住民税の通知書をしっかりチェックするようにしましょう。