所得税減税は6月の給与、住民税減税は11カ月分割

では「定額減税」はどのような流れで実施されるのかをご説明していきます。

会社員・パートなど給与収入がある方の場合、6月の給与や賞与で「3万円の所得税減税」が実施されます。これを「月次減税」といいます。

もし所得税納付額が3万円以下で、6月給与では引ききれなかった場合、7月、8月も引かれます。

また、12月の年末調整で再計算され、減税額が3万円に足りない場合はさらに減税されます。これを「年調減税」といいます。

一方、「1万円の住民税減税」はどうなるでしょうか。こちらは、まず「6月の住民税を0円」にした上で、「住民税の支払い予定額から1万円を引いた額」を、7月から翌年5月までの11カ月間に分割して徴収します。

【図表】会社員・パートの定額減税
筆者作成

所得税減税は6月から年末、住民税減税は時間をかけて来年5月まで徐々に減税するという、なんともバラバラな仕組みになっているわけです。

ちなみに副業をしている場合は、年末調整時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)」を提出した会社で定額減税されます。「マル扶」を複数の会社に提出している人は間違いですのでご注意ください。

年金受給者かつ働いている人は「2重取り」が可能

以上は給与収入がある人の場合でしたが、年金受給者の場合はどうなるでしょうか。

年金受給者の場合、6月の年金で「3万円の所得税減税」が実施されます。

ただ、年金をもらいながら働いている人も多いと思います。

その場合、結論から言うと「2重取り」が可能です。

6月の年金で「3万円の所得税減税」を受ける上、勤務先の会社の給与でも「所得税減税」を受けます。

本来、減税が重複した分は、「令和6年分の確定申告」で「3万円増税」されて取り戻される仕組みになっています。

ただ、年金収入が年400万円以下、それ以外の所得が年20万円以下の人の場合、

あるいは給与収入が年2000万円以下、年金収入が年130万円以下の人の場合、確定申告は不要です。

3万円増税されるために申告する必要はありませんから、これらに該当する方は「もらい得」になります。

【図表】年金受給者+給与
筆者作成

ただ、年金をもらいながら働いている場合、給与が高くないため、「会社の給与での所得税減税は数千円程度」だと想定されますので、3万円まるまる2重取りになるケースは多くはないと思われます。