近々に「政権交代」が起きるとしたら…
2024年9月に自民党総裁選挙が予定されている。岸田首相続投の可能性はありつつも、ポスト岸田勢力も自民党総裁の席を狙って虎視眈々の構えだ。言うまでもなく、自民党総裁は日本の首相であり、現状の野党の低支持率では政権交代はあり得ない。そのため、何らかの「政権交代」が近々に起きるとしたら、それは自民党総裁選挙によるものだけだ。
さて、この自民党総裁選挙は党所属国会議員らの離合集散によって勝敗が決する。国会議員の20名以上の推薦を得た候補者が「1人1票の国会議員票」と「国会議員票と同数の党員票」の取り合い、全体の過半数を制すれば勝ちとなる。
したがって、自民党総裁選挙のシステムは議員の権力が強いシステムであり、国会議員間の取引によって事実上総裁候補者が決まると言って良い。党員票も実は各国会議員が頼み込んで党員になってもらった人々ばかりで、その大半は実質的に国会議員の紐付き票のようなものだ。
そのため、自民党総裁選挙は、国会議員による権力闘争の場であって、一般の有権者からは遠い場所での争いである。その大半は彼らの当落と利害によって決定されることになる。
シンクタンク調査で判明した「ポスト岸田」候補
一方、大手メディアでは、自民党総裁候補者らの世論調査ランキングを発表している。しかし、筆者はこの手の世論調査には常にある疑問を持ってきていた。その発表されるランキングは本当に投票権を持っている自民党員(最低限、自民党支持者)による世論調査の結果なのかという疑問だ。
そこで、筆者が所属するシンクタンクから大手インターネット調査会社に委託し、有効回答数1000名(性別・全国人口構成比割付)の政党支持者別の自民党総裁選挙支持率に関する調査を実施した。
結果は予想通りのものだった。たしかに、上位は大手メディアの一般的な調査通り、1位・石破茂氏、2位・上川陽子氏、3位・小泉進次郎氏などの順で名前が並んでいた。しかし、実際の自民党支持者に限定すると、1位・上川氏、2位・石破氏、3位・4位同着・河野太郎氏・高市早苗、6位・小泉進次郎、7位・岸田文雄……という結果になった。
石破氏は立憲民主党、日本共産党、維新の会、そして無党派層に相対的に強みを持っており、自民支持層においては強力な支持があるわけではない。この結果は筆者の感覚とも一致するものだ。自民党総裁選挙に参加する気もない野党支持層を含めた大手メディアの世論調査ランキングはいかにも不誠実だと言えよう。