閣議決定ですませる問題ではなかった

そもそも「三原則」の改定は、閣議決定ですませるイシューではありません。自公それぞれの政務調査会で調査・研究し、国会の審議を経てコンセンサスを得なければならないはずです。

しかし、今回の「三原則」改定は国会で審議されていません。立てつけ上、「三原則」の運用指針は国家安全保障会議(NSC)の決定事項となっているからです。共産党の小池晃書記局長が「密室協議だ」と批判するように、得体の知れないところで「三原則」が改定され、それをあとから追認するのは危険きわまりないと思います。

重要な民主主義の手続きがないがしろにされている。それはなぜなのか。キーワードは山口さんが述べられた「家産制国家」です。すなわち政府・首相と官僚が、王と家来の関係になっている。「制度」の持つ意味が形骸化し、家来は王の命じることに、ただ「御意、御意」と言うだけなのです。

公明党本部
公明党本部(写真=Abasaa/PD-self/Wikimedia Commons

「25年間、自民党の暴走を抑えた」という自負

よく「公明党は絶対に自民党と別れることはできない」と言う人たちがいますが、こういう人たちは公明党を全然わかっていません。公明党のポイントは、常に与党であることです。

自民党と連立を組む1999年まで、つまり野党だった時代はきれいごとを言っていたものの、現実の福祉も現実の平和も実現できませんでした。ところが連立与党となって25年、自民党政治の暴走を抑え、たとえば安保法制などで平和を強化したという自負が公明党にはあります。

また新型コロナウイルス感染症で、COVAX(ワクチンを世界的に供給する枠組み)への参加を政府に促したのも公明党です。その結果、日本は世界で最初のワクチン購入資金拠出国になりました。給付金を一律10万円にすることで、社会の分断も生まなかった。

こうしたことで公明党は自信を持っているのです。だから、もし野党による政権交代の可能性が現実に出てきたら、公明党は連立与党を選択します。いつまでも自民党とはつきあわない。この点を、多くの人は見落としています。