マグロを逃がす機構がどうしても必要だった
彼が興した泉井鐵工所の業務は漁船の動力だった焼玉エンジンの修理だった。エンジンが壊れては肝心の操業ができない。漁師たちは「焼玉のことなら神戸帰りの泉井だ」と安吉を頼ってきたのだった。安吉は簡単な修理であれば港で行い、時間のかかる場合は工場へエンジンを運んできた。泉井鐵工所は創業してから日を置かずにエンジン修理に長じた町工場として評判になり、仕事を切らすことはなかった。しかし、安吉は少しも満足していなかった。
エンジンの修理だけでは工場を大きくしていくことはできない。自社製品を作り、会社を伸ばしていかなくては修理屋で終わってしまう。
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