相手に「伝わる言葉」を使って話す

「打ち合わせのエビデンスをとっておいて」
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「打ち合わせの内容を記録しておいて」

政治家の会見や、ニュースの解説などを聞いていると、カタカナ英語や専門用語、四字熟語などが出てきて、内容がすんなり入ってこないことがあります。

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写真=iStock.com/Zerbor
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聞き慣れない言葉がひとつでも登場すると、聞く側には負荷がかかるのです。

普段の会話やビジネスシーンでも、カタカナ英語は意外によく聞かれます。

「この点がアドバンテージ」「彼がファシリテーター」「リスケします」「コンセンサスを得た」「最大のUSPは?」など英語が疎い相手に言うと、「なによ、エラそうに」「ついていけない」と心の距離が生まれることもあるでしょう。

話し方がひとりよがりで、目の前の相手に寄り添おうとしないからです。

反対に、むずかしい内容を、中学生でもわかるような平易な言葉で説明してくれる人は、「頭がいい」「やさしい」「通じ合える」といった印象をもちます。

そんな人たちは“伝えること”ではなく、“伝わること”を優先しています。

相手の反応を見ながら、「いまのは、わかりにくかった?」と言い換えたり、たとえを用いたりして、伝わる工夫をする人は、信頼されるでしょう。

大切なのは、共通の言語で話すこと。

だれもが知っている言葉を組み合わせて深い話をすることが、ほんとうの知性なのです。

少しだけ、ゆっくり丁寧に話す

「ヒマ? この仕事、できる?」
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「この仕事をお願いしたいのですが、30分ほどお時間はありますか?」

早口でフランクに話す人は、活発で頭の回転が速いという印象があり、ゆっくり丁寧に話す人は、穏やかできちんとした印象を受けます。

それぞれに魅力がありますが、幸運をもたらす関係になるには、少しだけゆっくり丁寧に話したほうがいいでしょう。

“ゆっくり丁寧”は、それだけで安心感があるのです。丁寧な話し方をされると、自分を丁寧に扱ってもらえている印象があり、自然に丁寧な言葉で返します。

年下や初対面の人にタメ口で話されて、もわっと違和感を覚えるのは、礼儀をわきまえずに距離を詰めてくるから。

また、早口だと聞きづらいだけでなく、お互いにセカセカした気持ちになって、うっかり失言も出てしまいます。

話すスピードは「ゆっくりすぎ?」と思うくらいがちょうどいいのです。

自分は内容をわかっているので早口になりがちですが、相手は聞きながら考える時間が必要です。

ただし、敬語や説明などが丁寧すぎると、よそよそしく感じられます。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)やスピーチ、家族や友人など親しい間柄でも、「少しだけゆっくり丁寧」に、「親しみのある表情」で伝えるといいでしょう。

ちゃんと伝えるためにも、穏やかな気持ちでいるためにも、心地いい人間関係をつくるためにも、少しだけゆっくり丁寧に話してみてください。