「言葉の裏の意味」は伝わってしまう

こうした不安を植えつけられた親が、口では「大丈夫、あなたならきっと合格できる」と言っても、子どもは鋭いので親の本心を見抜きます。「そう言うけど、本当は受かるかどうか不安なんだ」と察しますし、「落ちても近くの公立中学に通えばいいよ」と言われたら、「絶対に合格しろってことだな」と言葉の裏を読もうとします。

居間で息子を叱る母親
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生まれつきの気質として不安が高い子どもほど、こうした裏の意味を読み、余計に不安を高めてしまいます。結果、試験前にじんましんが出る、下痢が止まらなくなる、吐き気がするといった諸症状となって不安が現れます。そのようなコンディションでは、いくら勉強しても試験本番で実力を発揮することはできません。

塾によっては、テストの結果に応じてクラス分けや席順が決められているところもあります。そうすると、自分より下のクラスの子どもを「おまえなんか落ちこぼれじゃん」と馬鹿にするなど、偏差値を基準に子ども同士でマウントを取り合うようになります。塾としては、子どものやる気を鼓舞するために意図的に競争心を煽っているところもあるでしょう。

朝4時に起床し、夜7時には就寝する

先生から「親御さんが二人三脚で勉強をみてあげないと、お子さんの順位がどんどん下がり、かわいそうな思いをさせてしまいますよ」という脅しに近いお説教を受けたという親御さんもいます。その言葉を真に受け、家でも親がつきっきりで勉強をやらせたらどうなるか。

朝から学校や塾という集団の中で勉強し、帰宅してからも親が待ち構えている。合格・不合格以前に、そのような心休まらない環境が、子どもの脳の発達にいいとは到底思えません。

娘が本気で受験勉強を始めたのは、小学6年生の12月下旬でした。一般的な中学受験の準備期間が2〜3年ということを考えると、かなり直前の対策だったことは間違いありません。しかし娘の志望校は本人の学力と乖離かいりのない、ほどほどの偏差値の学校でした。学校で習わない難問ばかりが出題される難関校とは異なり、学校での勉強に加え、少し受験対策をすれば十分間に合うレベルでした。

そこから年末年始を挟んだ17日間は、親子で気合いを入れて受験勉強に取り組みました。その間は、私も仕事を入れずに娘の勉強をつきっきりでみました。具体的なスケジュールは以下の通りです。

・午前4時起床勉強をスタート。
・午前6時半朝食をとって、再びお昼まで勉強。
・午後1時昼食。日替わりでいろいろなお店のランチを食べに行き、ほっと一息。
・午後3時半買い物をして帰宅したら犬の散歩。入浴後に軽めの夕食。
・午後7時就寝。