調べてみると、同僚が女性が課長に執拗に迫る姿を目撃していた。しかも女性の夫は無職でヒモのような存在だという。一部には美人局ではないかという噂もあった。
課長と女性の夫との問題はあくまで民事案件。会社が下手に介入することはできない。人事部は課長に自分で問題を処理するように命じるとともに、遠方の九州地区の営業所に異動させた。発端となった女性は契約期間の満了を機に会社から追放した。
デキる女性にも落とし穴がある。流通業のCS推進部長(47歳)は女性初の役員候補と目されていた。店長時代の業績は抜群。部下の相談事にも親身に対応し、男性部下からも信頼が厚かった。
ところが、人事部に届いた一通のメールが彼女の運命を暗転させる。人事部長が語る。
「女性部長が専務と肉体関係にあるという内容でした。犯人は女性部長の部下の38歳の男性。問い詰めると、部長とは営業店時代から10年も同棲していたらしい。そして寝物語で彼女が『役員になれるなら誰とでも寝るわ』と漏らしたことで嫉妬にかられ、専務と彼女が親しい関係にあることを突き止めたという」
仮に男性部下の一連の証言が事実だとしても人事として彼女を処断する理由はない。だが、この一件を人事部長が社長室で話したとたん逆鱗に触れることになった。
「じつは役員は社長派と専務派に分かれ、ことあるごとに揉めていました。社長も仕事のできる彼女を高く評価していたのですが、対立する専務派の一員と見られてしまった」
女性部長は次の人事異動で中部地区の店長に逆戻りすることになった。
(PIXTA=撮影)