改憲派、護憲派双方がやるべきこと

私は国際法専攻ですが、昨年1年間は憲法学者の先生と2人で延々と9条研究をやっていました。その時に気付かされたのは、確かに9条研究には教条的なところがないではないのですが、きちんとした理屈、ロジックが存在することです。これは外から見ているだけではわからなかったことです。

稲葉義泰/JSF/数多久遠/井上孝司/芦川淳【著】『“戦える”自衛隊へ 安全保障関連三文書で変化する自衛隊』(イカロス出版)
稲葉義泰/JSF/数多久遠/井上孝司/芦川淳【著】『“戦える”自衛隊へ 安全保障関連三文書で変化する自衛隊』(イカロス出版)

改憲派も護憲派も、お互いのロジックを理解したうえで、「ここはそのままでいい」「ここは変えたほうがいい」と、お互いに妥協策を見出していく。そういう作業が必要なのではないでしょうか。

平和論を重視する人、改憲や保守的な思想を持っている人達両方がお互いこうした作業をやるべきで、攻撃ではなく対話してみることがまずは重要だと気づかされました。

自衛隊だけでは対処できない、特に認知戦の問題はこのあたりの対立ともかかわる、国民にとっての大きな課題です。

真剣に、いま日本が置かれている安全保障環境を考え、対立ではない形で、さまざまな立場の人たちが話し合える場が必要です。

(インタビュー・構成=ライター・梶原麻衣子)
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