戦争でわかった日本の3つの課題

確かに国際社会は「アメリカ一強」の時代ではなくなっています。しかしNATOという強力な同盟関係があり、ウクライナは加盟していないもののヨーロッパにあれだけの拠点を持って、ロシアに対峙してきたのも事実。

しかしそれでも止められなかったという現実がある以上、「起きてしまったらどうするのか」を考えないわけにはいきません。もちろん、習近平や金正恩が必ずしもプーチンと同じ行動をとるわけではありませんが、可能性がないわけではない。

――ウクライナで起きていることを目の当たりにしているにもかかわらず、日本では抑止力強化にさえ反対する世論があるのが現状です。ウクライナ戦争で明らかになった日本の課題とは何でしょうか。

ひとつは継戦能力、というか「弾の数」です。ウクライナ戦争では、「どれだけ弾を撃てるか」が如実に状況を左右しています。ウクライナの場合は榴弾砲りゅうだんほうや砲弾を使っていますから比較的安価で、だから数十万発を撃てるという状況があります。

一方、日本の場合は海に囲まれていますから、対艦ミサイルや対地誘導弾などの精密誘導のものが必要になるため、「1発数億円」するものを、数多く備えておかなければなりません。

ウクライナの高い広報力

ウクライナ戦争は2年半を過ぎましたが、日本が同程度の長期戦を戦えるかというとかなり難しい。弾薬数も、人の数も、燃料もそうですし、産業構造としても長期戦を支えられる形にはなっていません。

ミサイルに関しては予算が割かれていますが、「外国から買うのではなく、国産ミサイルを持つべきだ」と主張する人たちもいます。これに対しては「いざというときに効率的に使えるものはどれなのか」を念頭に判断すべきではないかと思います。

また、義勇兵の問題も考えておかなければなりません。ロシア・ウクライナ戦争でも両陣営に日本を含め各国から義勇兵が渡っていますが、日本がどこかの国と戦争状態になった場合、「日本のために戦いたい」という人たちが世界中からやってくるかもしれません。

ウクライナの場合はそのまま義勇兵部隊を組織して戦争に協力してもらっていますが、今の自衛隊法では義勇兵という存在を想定していません。もしもの場合、義勇兵志願者をどうするのか。空港に留め置くのか。これは考えておかなければいけないでしょう。

もうひとつ、大きなものは「国際世論への広報」です。ウクライナは非常にうまくやってきていますが、国際世論をどう味方につけるかはよく学んでおく必要がありそうです。