音楽ソフト市場の縮小が止まらない。日本国内のCDのセールスが、ピークだった1998年の約6000億円に比べ現在は約2000億円と、わずか十数年で約3分の1にまで激減した。町のレコード店もどんどん減っている。
「CDの売り上げが落ち込む中、着うた等の配信サービスは順調に配信数を増やしていましたが、近年の急激なスマホ普及のため、これも頭打ちになってしまった状態です」と、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の今泉裕人氏は語る。高画質高音質で気軽にYouTube等で見ることができるようになったため、わざわざお金を払って曲をダウンロードするユーザーが減ったためだ。
いま音楽業界では「逆転現象」が起こりつつある。右肩下がりの音楽ソフト(CD・DVD等)市場とは逆に、コンサート事業の売り上げが2004年の900億円に対し、11年には1600億円と上がり続けているのだ。今泉氏は「以前は、CDを売るためのプロモーションの一環として、収益度外視で全国ツアー等の興行を打っていました。しかし、近年は公演回数を増やし、会場限定グッズに力を入れたりと、コンサートそのもので収益を得ようとしています。CDとコンサートの逆転現象が起こりつつある」と分析する。これは単純に音楽業界全体の縮小ということではないようだ。「音楽ソフト市場の縮小は、不況が直接の原因ではなく、レンタルCDのコピーのほか、違法ダウンロードや配信サイトの増加など、CD・音楽ソフトを取り巻く環境の変化が原因と考えられます」。
(ライヴ・アート=図版作成)