ジャパネットによる「長崎スタジアムシティ」
長崎駅北側の三菱重工長崎造船所幸町工場跡地では、ジャパネットホールディングスが手がけるサッカースタジアムを核にアリーナ・ホテル・オフィス・商業施設を併設した「長崎スタジアムシティ」が2024年10月に開業予定だ。開業日前日には地元出身の福山雅治氏の無料ライブが開催されることになっている話題の施設だ。
観客までの距離が最短5メートルと日本一ピッチから近いサッカー専用スタジアムは、約2万席の客席を完備し、ジャパネットホールディングス傘下のJリーグのV・ファーレン長崎の本拠地となる。日本初のスタジアムビューホテルが併設され、スタジアム上空を通過するジップラインの設置も予定されている。
その他、バスケットボールやコンサートなどの開催が可能な可変型のアリーナは、約6000席の客席を完備。バルコニーやラウンジを備えたオフィスビルや商業施設も整備されるという。
長崎では、2022年に暫定開業した西九州新幹線を起爆剤に、新しい駅ビルや外資系ブランドホテルの開業に加え、サッカースタジアムの新設により、観光や修学旅行だけでなく、スポーツ、国際会議やエンターテイメントを誘致し、賑わいを取り戻そうとしているのだ。
民間主導がスタジアム&アリーナの魅力度を上げる
これらの地域では、最先端のスタジアムやアリーナというシンボリックな大型開発が起爆剤となり、宅地開発やアパート・マンション建設、商業施設の計画などが進められている。多くの事業者や投資家も安心して中長期的視点で、事業継続や不動産投資を行うことができるのだ。こうした動きが、さらなる不動産価値の上昇を生み、地域のブランド化や差別化を推し進めることになる。
的確なマーケティングの実施と採算性を重視した民間主導のスタジアムやアリーナの新設によって「ワクワクしそう」→「行きたい、観たい」→「集客力・視聴率アップ」→「入場料・放映料アップ」→「収益力アップ」→「更なる拡張・投資」という好循環が実現することも可能になる。
立派な新スタジアムやアリーナといった箱物を立てるというハード面だけでなく、スポーツやエンターテイメントにおいて、チケット販売におけるダイナミックプライシングやキャッシュレス化の導入、シーズンチケットの販売拡大、有料ファンクラブの充実、有料放送の会員拡大、放映権やライセンスの管理、バーチャル化、富裕層を呼び込むVIPラウンジやVIPチケットの導入の実施などソフト面での充実も考えらえよう。無論、当地をホームタウンとするプロスポーツチームなどが、魅力ある選手を揃え、相応しいレベルの成績を残すことで、集客力を確保する必要があるのはいうまでもない。