楽天による「完全キャッシュレス化」

スタジアム・アリーナというハード面だけでなく、ソフト面での充実においては、楽天が先駆者である。楽天では、スマートスタジアム構想を掲げ、2019シーズンよりQRチケット・完全キャッシュレスを、プロ野球の東北楽天イーグルスの本拠地である「楽天モバイルパーク宮城」、Jリーグのヴィッセル神戸の本拠地である「ノエビアスタジアム神戸」で実施している。

楽天が所有するプロスポーツ興行において、チケット購入、物品販売などで、楽天カード、楽天ペイ、楽天ポイント、楽天Edyなど金融決済サービスを優先的に利用してもらうことで、「楽天経済圏」のさらなる拡大にも寄与することになる。

NTTドコモが「国立競技場」運営に名乗り

2024年6月には、NTTドコモが、国立競技場の運営事業の優先交渉権者に選定された。ドコモの主力事業は無論、通信事業であるが、市場は飽和状態で低価格化も進んでいる。こうしたなか、ドコモは、金融決済事業に加え、アリーナやスタジアムの運営事業も強化することで、通信と金融やエンタメとの融合により「ドコモ経済圏」の拡大を目指しているのだ。

国立競技場
写真=iStock.com/kuremo
※写真はイメージです

NTTドコモによる国立競技場の運営において、サッカーの日本代表戦などスポーツの聖地化、国内外有名アーティストのコンサートの誘致や、大型ビジョン・グループ席・VIPルームの設置、dカード、d払いなどの利用によるチケット優先販売やスマートスタジアムの実現、コンテンツ独占配信などなどが想定されよう。

こうした試みにより、①新規顧客の獲得、②収益機会の拡大、③顧客の囲い込みによって「ドコモ経済圏」の拡大を目指しているのだ。

NTTドコモは、有明アリーナや2025年に開業するジーライオン神戸アリーナ、IGアリーナの運営にも関わっており、国立競技場とあわせ、スタジアムやアリーナの施設運営ビジネスを全国展開する方針である。

こうした民間主導によるアリーナやスタジアムの新設により、デジタル化と融合した新しいスポーツやエンターテイメントの提供が始まることで、プロスポーツの興隆だけでなく、地域経済の活性化にも繋がることになろう。

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