肉食に偏っていたネアンデルタール人

一方、ホモ・サピエンスは雑食性であり、口にするものは野菜、果物、貝類、狩猟肉、乳製品、穀物と非常に多彩でした。食べるものの三分の二は野菜だったといいます。

肉が手に入るうちは、ネアンデルタール人も安泰でした。ところが、彼らが狩猟していた動物の多くは、気候変動や乱獲が原因で激減していき、旧石器時代の末期には、肉がほとんど手に入らなくなっていました。肉食に依存していたネアンデルタール人にとっては、致命的な事態だったわけです。

もっとも、彼らが結果として絶滅に追いやられたのは、単に肉食に偏っていたという理由のみによるものではないと思います。彼らと違って生き延びたホモ・サピエンスは、植物成分を摂取することによって、免疫力を高めていたと考えられます。つまり、先に述べた遺伝子上の違いとも相まって、ホモ・サピエンスの方がネアンデルタール人よりも、疫病等に強かったのではないかと私は考えています。

マンモス
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植物成分が免疫力を高めた

植物は逃げも隠れもできず、自分から獲物を取りに行くこともできません。そのため、どこであれ生育した場所で、土中の病原菌や、降り注ぐ有害な紫外線、食害しようとする昆虫や動物などから、自らの身を守らなければならない。そのために植物は、実に多様な成分を産生しています。その中には、人体にとって有用なものもたくさん含まれています。

特にポリフェノール、ビタミンC、ビタミンE、カロテンといった栄養素は、植物からしか摂取することができません。

ポリフェノールなどは免疫力を高めることが現在では知られていますが、野菜や果物等を通じてそうした成分を摂取していた人類は、そのおかげで数々のウィルスなどに打ち勝つことができたわけです。