血糖値を劇的に抑えたのはマヨネーズだった

さらに、糖質疲労(食後高血糖)を予防するという観点でも、脂質の摂取は重要です。

日本人を対象にした4種類の食事メニューで食後の血糖の変動を検討した研究では、白米ばかりを食べる300kcal台の食事が一番血糖値を上げ、同じ量の白米に豆腐と卵(たんぱく質)を加えた400kcal台の食事がその次に血糖値を上げ、その次がさらにマヨネーズ(脂質)を加えた500kcal台の食事で、一番血糖値が上がらなかったのが、さらにほうれん草など(食物繊維)を加えた600kcal台の食事でした。

中でも劇的に血糖値を上げにくくしたのがマヨネーズを加えたときです。この研究でその機序を解明するべく細かく検討したところ、油脂を摂取することでGIP(血糖依存性インスリン分泌刺激ペプチド)の分泌が増えていました。

先ほどのGLP-1とGIPを合わせてインクレチンホルモンと言います。インクレチンとは、腸から分泌されてインスリン分泌を高めるものという意味です。

健康のカギを握る“肥満改善ホルモン”

しかし、これらのホルモンはインスリンを分泌させるのに、低血糖(インスリンの作用が過剰な際に生じる現象です)を起こしません。血糖依存性インスリン分泌というのは、血糖値が高いときだけインスリンを出させるということなのです。

山田悟『糖質疲労』(サンマーク出版)
山田悟『糖質疲労』(サンマーク出版)

しかも、インスリンを分泌させると肥満(脂肪細胞にカロリーが取り込まれるため)が懸念されるのですが、これらのホルモンを糖尿病患者さんのために注射製剤にしてみたところ、満腹感を高めて肥満治療にもなることがわかりました。

最近、糖尿病でもない方に、これらの注射製剤が(保険適応ではないので自費で)処方され、世界的に製剤が不足して糖尿病治療に使用できないということが社会的問題になりました。それくらいに肥満改善作用が強いのです。

たんぱく質を食べてGLP-1、脂質を食べてGIPを体から出させることは、糖質疲労(食後高血糖)を改善させるばかりでなく、体重の適正化(20歳の頃の体重に近づける)に資することなのです。

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