ラーメン、餃子、小チャーハンで2000円程度

わたしは幸ちゃんラーメンで食事した。

とんこつラーメン(190バーツ)、博多一口餃子(5個 90バーツ)、チャーハン小(130バーツ)を頼み、ラーメンのトッピングとして、青ねぎ、きくらげ(両方で60バーツ)を追加した。日本円にすると2115円(1バーツ=4.5円で計算)だった。

値段は日本と同じくらいだろう。青ねぎときくらげをトッピングしたのはタイ人が好きだというからだ。きくらげは中華料理でよく使われているから、なじみのある食材なのだろう。すべてを残さず食べた。ラーメンも餃子もチャーハンも日本の幸ちゃんラーメンと同じ味だった。

「幸ちゃんラーメン」のオープン前には吉村幸助社長を招き、料理のチェックを重ねたという
筆者撮影
「幸ちゃんラーメン」のオープン前には吉村幸助社長を招き、料理のチェックを重ねたという

内川は言った。

「本物志向です。日本とまったく同じにするため、開店前には福岡から吉村社長に来てもらいました。吉村社長が何度も試食して、『OK』と言った水準になってます。スープも毎日、店で炊いてますから福岡と同じ。麺は生の麺を打ってくれる製麺屋さんがバンコクにあるので、そこから仕入れています。スープも麺も日本と同じクオリティじゃないとこちらでは通用しません」

一杯3000円でも本場の味なら売れる

ひとつ違いがあるとすればスープの温度だろう。日本のラーメン店ではどこでも熱々のスープが当たり前だ。だが、バンコク店のスープはテーブルに着いてすぐに飲める温度だった。ただし、ぬるいと感じるわけではない。

タイ人は熱々のスープが苦手だという。そこで、キッチンの人間が忖度して熱々にしていないのかもしれない。

内川は「タイの人たちが好きな味は辛いものと甘いもの」と言った。辛いもの好きということはわかるが、実は「甘いものに目がない」らしい。それも「極端に甘い」のが好きとのことだ。

「タイのケーキはバタークリームなんですけれど、それが死ぬほど甘い。日本人には無理です」(内川)

内川は「日本食を出すなら本物でなければダメ」とも言った。

「タイの人は何度も日本に行っています。もはや、『なんちゃって日本料理』じゃ満足しないんですよ。ラーメンを本場と同じにしているのはタイ人の要求水準が高いから。

ただ、値段は高くしていません。うちでは他のとんこつラーメン店よりも値段を抑えめにして、福岡と同じくらいにしています。けれど、バンコクのとんこつラーメンは一杯、1300円はしますよ。一杯2000円の店はざらにありますし、3000円という店もある。うちは安いほうだと思います。

タイ人がオーナーのとんこつラーメン店もたくさんありますけれど、やっぱり日本人の作るラーメンが人気ですね。本物でなければダメ。材料を福岡と同じにする努力が必要です」

店内のメニュー表。「替玉」もあった
筆者撮影
店内のメニュー表。「替玉」もあった