審判のミスも許容してこそ

スポーツマンシップの考え方では、スポーツは、チームメイト、相手選手、審判、競技そのものへの「リスペクト」が大前提になっている。

一緒にゲームをする仲間、そしてそれをジャッジする審判が互いを尊重し、敬意を払って試合に臨むことでスポーツは成立する。それは、試合を観戦する人にも求められる態度だ。

プロ野球に限らずスポーツ全般において、生身の人間である審判が、試合のジャッジをし、マスターオブゲームとして試合を主宰するということは、常に失敗、判断ミスをする可能性がある。選手が失策をするのと同様だ。

もちろん頻繁にミスをするのは論外だが、これは絶対に避けることができない。それもスポーツの内なのだ。あってはならないことだが、人間の所業だから必ず起こるミスを許容することもスポーツには必要だと筆者は考える。

パリ五輪のロゴで飾られた建物
写真=iStock.com/Alexandros Michailidis
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スポーツそのものへの敬意を欠いている

日本のプロ野球、そしてそして多くのスポーツの審判はおかしなジャッジはしない。それは、彼らはそこにプライドを感じているからだ。公正で厳正な審判業務をするために、日夜研鑽を積んでいる。それでもミスは起きてしまうのだ。スポーツを愛するなら、それは全面的に支持されるべきではないのか。

審判をリスペクトしないファンは、恐らく選手もリスペクトしていないし、スポーツそのものへの敬意も欠いている。誤審を理由にSNSで審判や選手などを攻撃する行動は、端的に言えば、「贔屓の引き倒し」といえる。

本当のスポーツファンになるためには、まず、その姿勢を正すことから始めるべきだと筆者は考える。

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