属性別から見えるもの

属性別の視聴率比較も興味深い。

バラエティの今後の可能性が浮かび上がるからだ。

【図表】去年と今年の比較~属性別~
スイッチメディア「TVAL」データから作成

去年と今年の個人全体は、両時間帯とも大きな差はない。

「タレント・芸能人好き」や「お笑い・バラエティ好き」層では、去年に軍配が上がった。ところが「ダンスに興味あり」層では、「カギダンススタジアム」が去年の同時間帯を大きく上回った。1.5倍の大差となったのである。

今年は学校を舞台にした企画が多かった。

その結果、「中高生の親」も視聴率が上がった。子供と一緒に見る30~50代がたくさんいたということだ。

1980年代にF1に強いフジに対抗するため、当時の日テレは小中高生とその親の随伴視聴を促すような番組で、コア視聴率の改善を図った。その結果スポンサーの出稿が増え、広告収入でフジを上回るようにもなった。

今回の「27時間テレビ」は、まさにその日テレのお株を奪う反転攻勢だったのである。

バラエティの可能性

1980~90年代で枠が激増し、バラエティは全盛期を迎えた。

その後「暇つぶし」「慰安」目的の娯楽番組はインターネットに押され、視聴率を大きく落としていった。ところがテレビ離れと言われた若者を今回の「27時間テレビ」は大きく取り戻した。

昨年は「千鳥の鬼レンチャン」をベースに、芸人同士の内輪ウケ的なから騒ぎが目立った。それでも久々のフジらしいバラエティは、リベンジコロナの意味もあり数字は良好だった。

それが今年は、様相を大きく変えてきた。

小中高生に“自分事”として見られる企画を並べた。しかも芸人のアドリブに頼るのではなく、真剣勝負・ガチな戦いを前面に押し出した。

仕掛けもテレビ局でないとできない大がかりなものが並んだ。

個人の突出芸で勝負する動画の多いYouTubeと異なる点だ。つまり“自分事”“ガチ対決”“大がかりな舞台”と三拍子そろうと、リアルタイムで見てくれる視聴者が増える。

その三拍子は熱量・笑い・感動と翻訳することも可能だ。

今回の「27時間テレビ」は、フジのポテンシャルとテレビバラエティの可能性を示した“新しいカギ”となる番組だったと言えよう。

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