開業医は繁忙期と閑散期の差が激しい

さて、44歳で開業医になりました。はい、確かに収入は勤務医時代と比べて大変よくなりました。老後の不安も消えました。では忙しいかというと、これがなんとも微妙なんです。開業医の収入は月によって、また年によって全然異なります。冬は感染症が流行し、クリニックに患者さんが大挙して訪れますが、夏はガラガラだったりします。

新型コロナの感染拡大が始まった2020年は、患者さんの診療控えや、マスクなどの衛生管理の徹底で感染症が減少し、クリニックへの来院患者数は激減しました。まったく暇で、患者さんが途切れると院長室で読書をする毎日でした。

ところが2023年は、リバウンドがやってきて、種々の感染症の大流行のために毎日大変忙しい日々を送っていました。私のクリニックは午前3時間・午後3時間と診療時間が短いのですが、その6時間の間に毎日平均で100人くらいの患者家族がやってきました。多い日は150人くらいです。

大学病院と比べて開業医は天国

勤務医の生活は、外来診療のほかに、手術があったり、回診があったり、変化がありますので、(語弊があるかもしれませんが)飽きが来ません。その点、開業医はずっと外来診療をやっています。150人を診察するというのは、150回神経を全集中するということです。

そういう意味では開業医も忙しいと言えます。ただし、時間にけじめがあるのですね。17時30分が受付の終了ですから、そこから先、患者さんが増えるということはありません。100人を超える診療でも、19時には終わります。つまり、必ず終わりがあるということです。

ところが、大学病院はある意味で終わりがありません。今は働き方改革で見直されているためこれはもう過去の話ですが、私が大学にいたときは、教授室の灯りが消えるまで帰途につくことができませんでした。うっかり先に帰ろうものなら、雷が落ちてくるという具合でした。

医師がパソコンを操作
写真=iStock.com/hobo_018
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開業医はたとえ忙しい月や忙しい年があっても、勤務にけじめがあるので、帰宅後には自分だけの時間を堪能することができます。また、土曜日の午後と日曜日、さらに休診日の水曜日は完全に休みで、呼び出しを受けることもありません。大学と比べてこれは天国かと思ってしまいます。

その点から見ると、開業医には時間があると言っていいと思います。1日が2部制になっていて、前半が診療、後半が自由時間という感じ。

こうして見てくると、「お金もあって」「時間もあって」という生活をしているのは、開業医ということになります。