「毎日勉強するのは当たり前」は大人の感覚

受験をするのだから、毎日勉強するのは当たり前、なんて思ってはいけない。大人からすれば出された宿題はやるのが当たり前であっても、きちんとやったらその頑張りを認め、褒める。そうやって、「認めて」「褒める」ことをくり返し、伴走していく。それが現実的な中学受験だ。

一方、気分がいいときは、大人の想像をはるかに超えた頑張りを見せるのが子供。そうなれば、親のサポートは最小限に、子供はどんどん自走していく。両者の違いは何かというと、

「楽しい」と思えるかどうか――。

大人でもそうだが、楽しいと思うことはどんどんハマっていくし、うまくいかないことがあっても、楽しいことなら「もうちょっと頑張ればなんとかなるかもしれない」と踏ん張りがきく。中学受験の勉強もそれと同じで、「知らないことが分かるのは楽しいな」「できなかった問題が解けるようになるのはうれしいな」と思うことができれば、子供は自ら学びに向かう。

だが、その土台を作る幼児期・低学年のときに、どんな過ごし方をしてきたかで、勉強に対するイメージは変わってきてしまう。

本を読む子供
写真=iStock.com/kohei_hara
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高学年になって成績が伸びなくなる子供たち

中学受験のプロ家庭教師である私のところには、日々さまざまな相談が来るが、なかでも特に多いのが「高学年になってから成績が伸びなくなった」というもの。そういう家庭に「お子さんが小さい頃、どんな過ごし方をされていましたか?」と聞くと、多くが「幼児期から学習系の習い事に通わせていた」「低学年の頃からドリルをいっぱいやらせていた」と話す。

こういう子はみんな低学年まではいい成績を取り続けるが、中学受験の勉強が始まる4年生頃から徐々に成績が下がり始め、5年生でさらにガクッと下がってしまうケースが少なくない。幼い頃からの“やらされる勉強”に疲れ、勉強が楽しいと思えないからだ。

一方、4年生のときは学習習慣にまだムラがあったり、落ち着いて勉強ができなかったりした子が、学年が上がるにつれてメキメキと頭角を現すことがある。この違いを一言で言うならば、「小さいときにどれだけ熱中体験をしてきたか」に尽きる。