ムリに効率化する前に、根本的な体質改善が必要

では、仕事が忙しくて「なかなか人に会う余裕がない」という人が「休みの日に集中的に人に会うことにした」という場合はどうでしょう。

仕事で名刺交換だけはしたものの、その後のメールなどの連絡が忙しさにかまけて機を失したときの対応策として、お正月やお盆休みなどに、片っ端から知人・友人に連絡したりします。

けれども、これでは滞りは解消されるどころか、ますます増幅するばかりです。徹夜作業などの負荷の大きな取り組みを定期的に繰り返すことになるからです。便秘を解消するために下剤を常に飲み続けるようなものです。

確かに「便秘で困っている」というときに下剤を飲めば、とりあえずの便秘は解消できるでしょう。しかし、下剤というのはあくまで応急処置です。

便秘だからといって、いつまでも下剤に頼っているわけにはいかないはずです。食生活を改めるなどして、便秘になりにくいように体質改善を行う必要があります。

「便秘だから下剤で解消する」ということを繰り返すわけにはいかないのです。

ちなみに物流の現場の改善なども同じです。ムリに効率化しても、改善の考え方が根づいていないと、再びもとの改善前の状況に戻ってしまうことが圧倒的に多いのです。

滞りのない生活は、血流がよい健康体と同じ

時間管理における滞りの解消も同じです。滞りを解消するのには、それなりのコツや考え方があります。「作業が詰まりすぎているから徹夜する」とか「資料づくりを集中的に行いたいから残業時間を増やす」といったことは、抜本的な解決策には至りません。

便秘と血流には医学的に関係があることが知られていますが、比喩ひゆ的な意味でも時間管理における便秘体質を解消するには、「血流」をよくすることが効果的といえます。

すなわち仕事量などのムダ、ムラ、ムリをなくし、「必要なときに、必要なことを、必要な量だけ行う」ということを徹底していくのです。

先ほどの例でいえば、徹夜作業にならないように計画を組んでおくのです。

夜中に自宅で働く若いアジア人女性
写真=iStock.com/K-Angle
※写真はイメージです

「そんなことは難しい」と思う人もいるかもしれませんが、そのための下準備、ちょっとした工夫をしておけば、そんなに難しいことではないのです。

たとえば、朝活を無定見むていけんにだらだらと行うのではなく、「1週間30分ずつ朝活をしておけば、徹夜作業は避けられる」というように逆算しながら時間管理をしていくのです。