親としては、特に母親は、お腹の中にいる時からわが子のことを常に考え、心配し、世話をしてきているので、子どものことは全部わかっていると思いがちですし、そう思いたいという気持ちもあるかもしれません。ですが、子どもたちは成長の過程でたくさんの人に出会い、いろんな影響を受けて、だんだんとその子なりの意思や価値観が生まれていきます。このことは、将来自立した大人になるためにとても大事なことなのです。
子どもの考えていることがわからなくなると不安になる気持ちもわかりますし、コントロールしたい気持ちもわかります。でも、自転車に乗れるようになったとき、途中まで添えていた手を最後には離したように、子育ても次第に手を離していく必要があります。手を離しても、転んでも自分で起き上がれるようになるまでが、後方から「大丈夫、あなたならできるからね」と信じて見守っていけばいいんです。
子どもの考えていることがわからなくなってきたら、その日を「記念日」に設定し、日記に成長の証を残すくらいの気持ちで、ゆったりと構えてみるのもいいのではないかと思います。
あなたもそういう年齢になったのね。あなたの意思があるものね。今までみたいにママになんでも話すことは、この先は少なくなるかもしれないけれど、自分一人や友達に話して解決できない時はいつでも聞くからね。応援してるよ。
こう伝えてあげると、子どもは安心します。そして、親という存在をいざとなった時の切り札として、お守りのようにして生活していけるようになるのです。心の安定感があると自己肯定感も上がっていきますから、親子関係も変わっていきます。
当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら