演じた後に感想を聞くと、みなさんこうおっしゃるのです。
「やる気がなくなった」
「こんな親にどうせ何を言っても無駄」
「自分はダメな子なんだなと感じる」
そして、こうも言います。
「いつもの私です! 先生、どうして私がこう言ってるって分かったんですか?」
「今朝、ちょうど同じ言葉を言っちゃいました」
このワークを通して気づきを得た親御さんたちは、子どもにかける言葉を考え、少しずつ変えていきます。そのことで、親子関係も変わってきます。
大人は自分の感情に任せて、または不安から心配が先走って、ついついダメ出しをしたり先回りして指示したりしますが、子どもには子どもの意思があり、考えがあります。ゆっくり成長している脳の発達をしっかりと理解して、少しでも「以前との本人と比べてできるようになったこと」に目を向け、言葉にしていただきたいと思います。
さて、そんな中高生ですが、子どもたちと話をしていると、最初は緊張してあまり話さない子たちも、双方向にやりとりをしていくと少しずつ緊張がほぐれ、話をしてくれるようになります。ポツリポツリと本音も話してくれます。
例えば、両親の離婚で心が萎んでしまって、そこから学校に行く気力がなくなってしまったこと、家庭内の不和で心労が重なり眠れなくなってしまったこと、親の病気が心配で心が押し潰されそうになり、落ち着かなくなってしまったこと……。うつむき加減に不安そうな表情を浮かべながら、少しずつ言葉を選んで、自分でふたをしていた気持ちを伝えてくれるのです。
「頭が痛い」「お腹が痛い」という訴えが、こういうことに起因していることも、少なからずあります。「このことはお母さんに話したことあるの?」と聞くと、「自分のせいでますますお母さんに心配をかけてしまうから言わない」「学校に行っていないだけで迷惑かけているから、これ以上は迷惑をかけたくない」と言って本当の理由を話していない状況にある子も、ときどきいます。