エンパワーメント型のリーダーは、メンバーの才能と情熱が解き放たれることで、チーム力が最大化されることを知っている。産業時代から見れば、まさにパラダイムの転換である。メンバーがもっている才能と情熱を、組織の正しい方向に解き放つことが成果を生むという考え方である。

図16は、リーダーシップの4つのスタイルと6つのレベルを示したものである。リーダーシップのスタイルはコントロール派から放任派まで4種類あり、上のほうがコントロールの度合いがより強くなっている。

一番下の放任派は「実行するだけで報告の必要はない」というもので、ビジネスの世界では考えられない状態である。次の解放派がビジネスの世界では最も解き放たれた状態で、レベル4と5にあるように、上司の指示を受けることなく、自らの判断で実行し、その結果を報告するという働き方である。

私たちのリーダーシップがめざすエンパワーメントは、この「解放」あたりを指している。「メンバーの才能と情熱を解放する」と表現するのもそのためである。

もし高い能力があるにもかかわらず、上司がいちいち指示を出し、細かく報告を求めるとしたら、そのメンバーのモチベーションは下がるだろう。逆に、上司から能力が認められ、自由に判断する裁量が増えれば、能力がある人ほどモチベーションが高まり、活き活きと働くようになる。

情報・知識労働者とは、そのように解放されることでモチベーションが高まる人たちである。このことを理解しないリーダーは、相変わらず産業時代の管理モデルを引きずり、組織の力を低下させている。