おいしいバナナはどうやって見分けたらいいのか。15年間ご飯、パン、肉、魚などを断ち、実験的にフルーツ中心の食生活を続ける中野瑞樹さんは「太陽に当たっていないバナナほど、日の光を得るために反り返る傾向がある」という――。
※本稿は、中野瑞樹『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
日本で流通するバナナの大半は「クローン」
バナナは東南アジアの熱帯雨林原産。ニューギニア島では紀元前数千年以上前から栽培が始まったとされる。
日本には江戸時代に沖縄に伝わった。明治に入り台湾からの輸入が始まると、昭和の初めには流通量も増えたが、当時の庶民には高級品だった。
現在、日本で流通するバナナの大半が、世界でも最も栽培されている生食用品種のキャベンディッシュ。種がなく、株分けで増やすため、遺伝子が同じクローン。遺伝子に多様性がないため、病気などによって全滅のリスクがある。
実際、1950年代までは主力品種だったグロス・ミッチェルは、世界的なパナマ病(つる割れ病)の流行によりほぼ壊滅し、現在のキャベンディッシュに置き換わった。
バナナのラベルが外側に貼られているお店は良店
日本で流通するバナナの大半がフィリピン産で、次いで多いのがエクアドル産。日本ではほぼ全て生食用だが、世界では調理用品種も多い。近年では、糖度の高い高地栽培バナナの生産量が増えている。
沖縄や鹿児島では、三尺バナナや小ぶりの島バナナがつくられている。
バナナを普通に置くと、バナナの重みで下(弧状の外側)のほうが傷みやすい。
そのため、袋のラベルを弧状の外側に貼って、接地面が小さくなる向きでバナナを置いているお店は、気遣いの行き届いた良店といえる。