短くても睡眠時間を確保するための方法
起床時間と睡眠時間は決まっていません。DJの仕事は深夜の仕事もあります。遅い仕事では深夜2時に始まり、終わるのが夜中の3時半なんてことも。就寝時間や起床時間は日によってバラバラなので、どうすればちゃんと睡眠時間を確保できるか、少ない時間でもちゃんとした睡眠を取れるか考えるようになりました。
一つの工夫はスケジュール管理。どの時間に仕事を入れるかだけでなく、どの時間に睡眠を取れるかもスケジュールに書き込みます。6時間しっかり睡眠が取れないとしても、例えば2時間は寝られるならスケジュールに入れています。
新幹線や車で移動する時間も睡眠時間として活用しますね。2時間寝て、移動の2時間で合計4時間など、細かくても睡眠時間を確保するようにします。移動時間に流すのはもっぱら落語。ここでも音楽は流しません。
短い時間しか寝られないときは睡眠導入剤も使っています。強いものだと昼間に眠くなってしまうので、短い時間だけ眠るのにちょうどいい量を処方してもらっています。
健康を意識してから眠り方を見直しましたが、しっかりと睡眠を取ることは、DJという仕事を続けていくうえでも重要です。
クラブの主役はお客さん。DJは、フロアにいるお客さんの様子を見ながら、彼らがどうすれば盛り上がっていけるのかを体で感じて、感覚でレスポンスしていく必要があります。
いい睡眠が取れているときは、「今のタイミングでこの曲がかかったら最高」という瞬間を見逃さず、いいインスピレーションがパッと浮かぶんです。逆に寝不足だったりすると、テンションや脳の回転が追い付かず、一手違ってくる。たった一手でも、フロアの盛り上がりは大きく変わってしまいます。
夢にも見るんですよね。一番よく見る夢がDJをやっている夢で、次の曲が見つからなかったり、何かトラブってしまって曲がかけられずにライブが終わってしまう。DJとして一番あってはならないことが起きてしまう夢です。脳がストレスを発散してバランスを取っているんだと思いますが、一手の違いを感じるようになった今は、いい仕事をするためにも徹夜は絶対に避けています。
来年はDJ活動を始めて45周年を迎えます。自分なりのルーティンでオンとオフを切り替えながら、まだまだ仕事を続けていきたいですね。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。