※本稿は、本屋B&Bで行われたW刊行記念イベント「話して伝えるためにプロがやっていること」の内容を抜粋・再構成したものです。
「結論ファースト」は唯一の正解ではない
【国山】よく「結論から話せ」みたいに言われるケースが多い一方で、千葉さんはあえて「結論から話す必要はない」とおっしゃっていますね。
【千葉】世の中で言われている“あるある”ってだいたい間違っていると私は思っていて。話し方でいえば、「結論ファースト」がビジネスパーソンの正しい話し方ですと言われがちなんですが……。
たとえばネガティブな話のとき、「あなたはもうチームから外れてください」という“結論”を最初に言われても、言われた側はなかなか受け入れられないと思うんですよね。そういう場合は段階を追って話していったほうが、最終的には理解してもらいやすいはずです。
スピーチであれば、最初に結論がわかってしまうと「はいはい、『挑戦して』っていう話をしたいのね」と思われてしまう面もあります。
なので私は、意図的に、最初はどんな話の内容が展開されるかわからないように話したりもします。「先日、こんなことがありました。私はここに悩み、こんな決断をしました。そこから私は、大胆な挑戦の大切さを学んだのです」という順で話すと、聞き手を惹きつけるものになります。
テレビの世界で学んだ「負けの美学」
【国山】ストーリーの部分を大切にしましょう、と。それでいうと、あえて弱みを見せるということも本に書かれていたと思います。
私も「負けの美学」と表現しているんですけど、相手との対話のなかで自分をさらけ出す。そうすることで相手も信頼してくれて、話が乗ってきて盛り上がるっていうのは、みなさんも想像できると思います。
この「負けの美学」は、芸人の加藤浩次さんから教わりました。一緒に飲んでいる途中で、加藤さんがいきなり真面目な顔をして「ハセンは負けの美学を忘れんなよ」と。「どういうこと?」って思ったんですが、そのときは意味をちゃんとは教えてもらえなかったんです。
そういう立ち居振る舞いっていうんですかね。自分をさらけ出して弱みを出すことで、愛嬌が生まれる。そのような「あえて」の立ち居振る舞いの大切さを、テレビの世界で学びました。