まとまった資金を新NISAで投資するには?

30~40代の方は、20代に比べて長く働いていることにより、ある程度の資産が築けている方もいるでしょう。その際、まとまった資金を新NISAに回すなら、貯金と投資のバランスを考えることが重要です。

小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)
小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)

手元に1000万円の資産があるとして、それを半分ずつに分け、500万円を貯金、500万円を新NISAの投資でインデックスファンドに振り分けるとします。その後、もし株式相場が暴落し、保有しているインデックスファンドが50%下落したとすると、250万円の評価額になってしまいます。

しかし一方で、株式相場が下落した後でも、貯金の残高はそのまま500万円で変わりません。貯金と投資、合計の資産推移を見ると、1000万円の資産は750万円となりました。投資のみだと50%の下落でしたが、貯金の残高は変わらなかったため、トータルで25%の下落で済んだことになります。

そのため、貯金と投資の割合は、貯金:投資=50:50を基準としてみましょう。

私も基本的には、貯金と投資は半分ずつの割合を目安にしていますね。その上で、もう少し守りたい人、つまり安定的に運用したい人は貯金:投資=70:30で、貯金の割合を大きくしておきましょう。相場の下落時も、多めに確保した現金がクッションとなってくれて、トータルでの下落幅を抑えてくれます。

逆に攻めたい人、つまり積極的に運用したい人は、貯金:投資=30:70で、新NISAでもまとまった資金を投資するのが分かりやすくていいでしょう。いずれにしろ、まとまった資金を投資する際も、株式相場が低迷した時を想定して、貯金をある程度は確保しておくようにしましょう。

ちなみに先ほどの例で、500万円を新NISAで投資する際の補足をしておきます。新NISAの非課税枠は年360万円なので、1年目で360万円を投資して2年目に残りの140万円を投資する形でOKです。残りの140万円についてはいったん貯金で置いておけばいいでしょう。

しかし、投資資金を寝かせずに運用へ回しておきたいという方なら、利益に税金はかかりますが、140万円を特定口座で投資しておくのもアリだと思います。ただ、そもそもまとまった資金を一括投資するのは不安という方なら、月10万円×50カ月などで、コツコツ積立しておく選択肢もいいかもしれませんね。

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